真っ白なルーズリーフ。 -4ページ目

タイトル未定*第2話


【第2話】 私を見つけた彼



―――――なんで私を見つけてるの・・・?!



振り向くと、そこには1人の男の子がいた。


「なんでこんなところにいるの?」


急に話しかけられて、少し戸惑った。


私は幽霊なのに。

誰にも見られていないはずなのに・・・。


考えてみれば、霊感の強い人もいるはずだ。
よくテレビでやっている。

この男の子も、きっと霊感が強いのだろう。
そう無理やり自分を理解させた。

すると、少し落ち着くことができた。


「なんで、って・・・なんとなく?」



どうせ自分には行く宛がないのだ。
学校にいるのも只の暇潰しに過ぎなかった。

しかし暇潰しと言うのもどうかと思ったので
曖昧な返事をした。


「き、君こそこんなところで何してるの?ホームルーム始まってるよ?」


「あー、俺?遅刻したから。」


「あ、そうなんだ。」


納得する理由だった。
他の理由だったのしても、別にどうにもならないが
1つ疑問があった。

ここは特別等で、理科室や音楽室、図書室などといった教室だけがあって
教室は何処にもなかったからだ。

玄関から1番遠い1年生だとしても、
この校舎は通らないのだ。


「でもなんでここにいるの?」


「うん?アンタを見つけたから。途中で幽霊だって気付いたけど。」


「ふーん?変なの。」


「変なのはアンタもそうじゃん。覗き見とかしちゃってさ。悪趣味だと思うよ。」


「・・・?!! 見てたの!!」


顔が熱くなった。
きっと真っ赤になっているのだろう。

自分が幽霊だからって油断をしすぎた。

幽霊が見える人だっていると言うのに・・・。


「あはははっ」


男の子は呑気に笑っていた。

男の子・・・って言うほど幼く見える訳ではないが、
あまりにも無邪気に笑うため、年上には見えないのだ。


「君、なんて言う名前?」


訪ねてみると、彼はキョトンとした。

会ってすぐに名前を聞くのはいけなかったかな・・・。
少し後悔をしたが、彼は「悠人」と言い出した。


「相崎悠人。悠人でいいよ。アンタは?」


「私?田原由那だよ。」


「へへっ」

悠人と言う名の男の子は、また無邪気に笑った。


「悠人君さ、早く教室へ行った方がいいんじゃないの?1時間目が始まっちゃうと思うし。」


「呼び捨てでいいのに。先輩でしょ?俺、1年だよ。」


「ええ?」

もしかしたらと思ったが、彼は私より年下らしい。

「私が2年生だって知ってたの?」


「まあ。だってよく見かけたし。廊下とかで。」


私が先輩だと知っていてタメ口だったのか。
だけど申し訳ないような感じがした。

私はその・・・・悠人君のことを知らなかったからだ。
廊下でよく会っているなら、少しくらい覚えていても言いと思うが・・・。


「でも、いくら後輩でも呼び捨てはちょっと気が引けるんだ。悠人君じゃダメかな?」


「別になんでもいいよ。呼び方なんて。」

悠人君はタコのような口をしていた。


「あ、じゃあさ、由那!」


「呼び捨て?!!」


「いいじゃん。どうせ来年になれば同い年になるんだから。」


「あ、そうか・・・私享年13歳・・・。」


「まだ誕生日来てないんだ。じゃあ次俺の誕生日が来たら一緒だね。」


何やら軽く酷いことを言われたような気がするが、
本人に悪気はないようだ。

なにも考えないことにしよう。


「一応教室には戻るからさ、特別等の避難用の階段知ってる?」


「うん。知ってるけど・・・?1番外側にある、おっきい外階段でしょ?」


「そうそうっ、そこにいてよ!休み時間になったら行くからさ。どうせ暇なんでしょ?」


「ええっ??なんで?!」

そのまま私の質問には答えず
悠人君は1年生の教室が並ぶ校舎へと走って行った。


すると1時間目が始まる予鈴が鳴った。

悠人君、間に合ったのかな・・・。

そんな心配をしながら、彼の言う通りに特別等にある
避難用の階段へ行ってみた。

最上階の3階に出てみても、校舎で日陰になっている。
7月の太陽はジリジリと照っているため丁度良かった。

取り敢えず、1番分かりやすい3階の踊り場に座ってみた。


何故こんなところにいるのかは、
自分でも分からなかった。


「どうせ、暇だしね・・・。」


幽霊になった自分は何処にも行き場が無かった。

何をすればいいのかも。


成仏・・・?

そんなものも、本当にあるのかさえ分からない。


宗教関係のことは、抵抗があってあまり詳しく知らなかった。

ニュースとかでも、
あまり宗教関係のものは良い話を聞かなかったから、
と言うのか。


「おばけとか、怖いし。幽霊だって嫌いだったし。」


そんな幽霊に、
私はなってしまったのだ。


そして彼、
相崎悠人君は幽霊が見えるのだ。

多分私のような人のことを知っているのだろう。


そんなことを期待して、
私は1時間目が終わる予鈴を待ち続けた。





*つづく