真っ白なルーズリーフ。 -3ページ目

タイトル未定*第3話


【第3話】 彼の理由



「由ー那ーっ! あ、いた。」


「授業お疲れ様。言われた通り、ちゃんといたよ。」

そう言うと、何故か悠人は微笑んだ。

「・・・? それはそうと、なんか用があるの?」


「・・・用、ってか。あー・・・
 なんか手伝えることがあるかなー・・・って、思っただけ。」


悠人君は階段の策に上って、
そこに座った。

見てるこっちが落ちそうで恐い。


「悠人君、こう言うのに詳しいの?」

こう言うのとは、幽霊とか、成仏の仕方とか
そのようなもののこと。


「んー・・・そんな専門的なもんとか知らないけどなー。
 でも、由那みたいな人は沢山見てきたから。」

と言うことは、沢山の幽霊達を見てきたってことだろう。


このようなものが苦手な私には、
幽霊が見える生活なんて、精神が狂ってしまうと思う。

そう思うと彼は偉いな、と関心した。
苦労とかないのだろうか。
そんなことも思った。

取り敢えず、時間もないことだし
知りたいことを質問してみた。


「幽霊って成仏とかしなくちゃいけないんでしょ?」


「ああ、悟りを開いたら仏になれるだか、なんとか。」


「仏?!生まれ変わったりしないの?」


「俺は死んだことないから分かんないけど。
 成仏したら生まれ変われると思うな。でも俺、宗教とか信じないけど。」


「生きてるときに悪いことしてた人は、地獄へ落ちて、
 日頃の行いが良かった人は天国へ行けるとか?そう言う類のもの?
 私どっちに行くんだろう・・・。うわー、ちょっと不安になったかも・・・。」


考えれば考えるほど、これからの不安が沢山伸し掛ってきた。

本当かどうか、定かではないが
よく聞く話だ。


「あっははっ!そんなこと心配してるんだ!
 親が子供に悪い行いをしないように、って作った只の作り話だよ。」


人が真剣に悩んでいるって言うのに・・・。


「そんなものかなぁ・・・。」


もしかしたら自分は、
ずっとこのまま過ごすことになるかもしれない。

そんなように思えて仕方がない。


そんなこと、退屈だし、悲しすぎる。



「他の幽霊はどうやって成仏したの?色んな人を見てきたんでしょ?」


悠人はうーんと唸り出した。

「どうなんだろうなぁ。俺、他の人には関わらないようにしてるし。」


「え?!!そうなの?」


これが本当ならば、どんなに質問しても意味がないではないか。


「由那は特別だよ。だって俺の知ってる人だったし。
 由那は俺のこと、知らなかったみたいだけど。」


「あははー・・・。」

でも、それでも良かったのかもしれない。
このまま1人でいると思うと、正直辛かった。




誰でも、


誰かに自分を見つけてもらいたかった―― 。







パチン。

何かが吹っ切れた。



もう、悠人君に聞くのは止めよう。

少しずつ、分かっていけばいいことだ。
どうせ私は死んでいるのだし、時間はいくらでもある。


「そっか。じゃあ私、少しずつ見つけてく。これからのこと。」


「・・・? なんか吹っ切れたの?」


私は何も答えず、ただ笑っていた。

「俺、力になれることある?」


彼にも迷惑かけられないな。

いつになるのか分からないし。



「ううん。大丈夫。 あ、早く行かないと2時間目が始まるよ?」


「え?大丈夫って・・・・・・・。」


するとタイミング良く次の授業の予鈴が鳴った。


「じゃあねっ!」


それだけ言い残して、私は階段から離れた。

地面から浮いて、空を飛ぶように。


「由那っっ!!」


悠人君の叫び声が聞こえた。


元々只の同じ中学に通っていた、
と言う共通意外何でも無かった関係だ。


すぐに断ち切ることができた。






*つづく