推理小説のように謎解き。

 

 判決が出るのは 14~15日だそうです。
  日にちがぼやけている理由は、 民事は件数が多いので、判決当日は何件もの判決をまとめて主文だけを読み上げるだけなのだとか。
 

 そして判決理由は後から文書で郵送されるので郵便事情で前後がある。ということでした。
 

 ゴールさんが仰有るように、「人事を尽くして天命を待つ」のが本来の潔い姿ではあるのでしょうが、そこは裁判官は神ならぬ人の身だと、わたくしは少し不信感を持っています。
はっきり申しまして、いったいどこまで真実を追究して頂けるのか。相手の噓にはたして気付く
だろうか。などなど、心が騒ぐのであります。

 

 それじゃいっその事、自分が判事になったつもりで、疑問やら矛盾やらの謎解きをやってしまおうじゃありませんか。
 と言うわけで、今回は以下の記事と相成りました。
推理小説、お嫌いな方には申し訳ないのですが、でも、か~るい気持ちで、お茶しながらでも読んで頂き、へェ~と思える書き方ができればいいなと思って書きますね。(そんな筆力は無いけれど~♫)
 
 謎解きの手順は、書面、証言、主張の内容を精査して時系列で模型を動かし、生じた矛盾点、疑問をできる限り解決した上で、残った疑問を評価するという方法で進めてみようと思います。
 
 
謎 1
 B車は、第2通行帯をどれ程の速度で走行していたのでしょう?
 今回、双方の準備書面ではこの事が記述されていませんでしたが、これはかなり重要なポイントだと思います。
  何故なら、Aさんの主張する事故は、突発的に後ろから当てられた事故ですが、Bさんの主張する事故は第1通行帯(左車線)の車両間隙、Bさんが後方確認した時期、左車線を走行する車両の有無など、多くの要素要因の上に成り立っていて、それらは時間と速度で密接に構成されなければならないからです。
 
 第一状況
Aは左第1通行帯を時速約50キロで走行。Bは右第2通行帯を走行。事故以前、両通行帯とも普通に流れていた。

 通常、右車線は、左車線である第1通行帯より早い速度で流れていますから、B車は少なくとも時速60キロ以上で走行していたと仮定できます。
Bさんのいう事故態様(A車が後ろから来て、車線変更中のB車に接触した)が形成されるためには、Bは、Aと接触する以前、道路上のどこかでA車とその前を走る軽トラを追い抜いていなければなりません
そして軽トラの前には、他の車両は居なかった事になりますし、Aさんの供述でも事故の前に軽トラの前を走る車は居なかった。と言っています。
 
 第2状況
 軽トラとA車との距離はだいたい30メートルぐらい。軽トラの前を走る前車との空間は相当あった。それはどれ程の距離だったのか。

 
   Bの弁護士は、Aが時速50キロぐらいで、しかも前の軽トラとの車間距離を30メートル程空けて走行していた事を疑問視しています。

 普通は制限速度が50キロであれば、60キロぐらいで走るだろう、という決めつけと、30メートルの車両間隔が長すぎるというのが理由ですが、Aは、速度は軽トラがその速度であり、抜く必要が無かったため。車間距離はいつもそれくらいで走っている。と答えたのでB弁護士の疑問はクリヤされました。
 Bの弁護士がA車の走行速度を速い速度にしたい理由はもう一つあります。
 それは、AがB車の車線変更の発見が遅れたのは高速だったからだ。としたいからで、それは被告準備書面の最初からの主張でした。
 もし被告側弁護士の言うとおりA車が60キロで走っていたとすれば、B車は時速60キロで走る軽トラ及びA車を抜くために時速70キロ以上の速度を出していた事になりますが、それはB弁護士の一貫性が無い矛盾という事でひとまず置いておく事にします。
 
   やはりここは軽トラとそれに続くA車が時速50キロぐらいという、比較的遅い速度で走っていたからこそ、軽トラの前を走る車との間に空間が出来ていたとするべきでしょう。
 
もしその空間がなければ、Bの証言「前に数台いたうちの1台が左に車線変更したのを見て自分も……」と言う状況が存在しなくなりますから、その意味でも軽トラの前の空間がそれなりの距離、存在した事にしたほうが、Bにとっては有利になる筈です。

  したがって、軽トラの前の空間は存在した。と仮定します。
  空間の距離については後の状況から推測する事にしました。
 
 第3状況
 Bは、第2通行帯を走る自分の前方に、右折待機車両と数台の停止車両を発見。
 ブレーキを踏み、右折待機車両の後ろに数台居る停止車両の直後まで、止まるか止まらないかの速度で接近した。と供述した。

 
 ここで一つの疑問が生じます。
  B車がA車と軽トラを抜いた後、軽トラの前方の左車線は空いています。(少なくとも、停止していた前方車両が車線変更出来る程には)
 通常、殆どのドライバーは自分が走行する車線の前方に停止車両などを発見した場合、早い段階で車線変更を考えます。
 私であれば、自分の走行する右車線前方に障害を発見し、左車線が空いていれば、左の方向指示器を出し、若干加速して左後方の車との距離を空けつつ左に車線変更をします。 これが多くのドライバーがとる行動です。
 
 つまり、仮に移りたいと思う通行帯に50メートルの車両距離空間があるとして、同じ速度で走っていればそれは50メートルの空間ですが、停止した車から見ればその車両空間、間隔は、時速5~60キロとして、2・3~4秒の距離でしかないからです
停止した状態から車線変更するよりも、他の車と同じ速度で走行しながら車線変更する方が安全であり、リスクも少ないことは言うまでもありません。
  しかしBは、わざわざブレーキを踏みながら、右車線を維持しつつ前方の停止車両に接近します。
何故でしょう。
これは、「左に車線変更する」という状況を造り出すための演出である
。とは考えられないでしょうか?

第4状況
Bは前方の停止車両のうちの1台が左に車線変更したのを見て、自分も行けると思った。

 
Bは、停止直前まで前車に接近したところで、前に数台停止していた車両のうちの1台が左に車線変更したので、自分も出来ると思った。と、それまでなかった状況を作りだしてきました。
  しかもBはこれほど被告準備書面(1)(4)(5)で繰り返していた左に方向指示器を出しながら速度を落としたという主張を本人尋問で取り消し、車線変更間際に方向指示器を出した。という供述に変えました。
 
「後から思い出したらこうだった」というのとは、繰り返しの頻度からみても明らかに違います。
推測ですが、これは、被告側の弁護士が、方向指示器を出していたことにして、過失割合を有利にしようと作為していたことが、当初、Bが職場に出した報告書の内容と齟齬が生じたために、Bが自分が言った事を優先したことによって生じた矛盾だと考えられます。
 
謎 2
  ここでの疑問は、「(前の車が)車線変更したのを見て」というところです。
  普通、我々が車線変更が可能かどうかを判断するとき、前に居る車の動向では判断しません
進路変更をするとき注意するのは、後方の車両の位置についてです。
それは、前の車には安全な距離であっても、自分にとっては危険な距離かもしれない。という常識的な理由からですが、Bは何故か途中から自分よりも前の車が車線変更を完了した。という状況を作り出して、その動きに触発されたかのような主張を始めました。
 
何の為でしょう。
考えられることは、前の車には車線変更ができる時間と空間があったのに、Bが車線変更ができずにAと接触したのは、Aの速度が速かったからだ。という構図を作りたかったのではないか。と いうことです。
 
車線変更を完了した車が動いたのは、Bが前方の停止車両を発見し、その最後尾に着いてからで、それまでは動きませんでした。
 
その理由は普通に考えれば、左車線を走行していた車が途切れるのを待っていたからだ。つまりそれまでは左車線には走行車が居たので動けなかった。と考えるのが妥当です。
 
だとすれば、何故Bは前の車より先に左に車線変更しなかったのか。
 
まずBは車線変更の意志を持っていました。
そして、車線変更の為の車両間隙は、前方で停止していた数台の車よりもBに早く訪れます。(軽トラックを追い抜いた時点で左車線は空いていた)しかもBはまだ動いていますから、この段階でなら無理なく車線変更が出来た筈なのです。
それなのに、そこでは何もせず、停止する直前まで前方の車との距離を詰め、前の車が車線変更したから自分も始めた。というのは理解出来ません。理屈に合わないのです。
これは「造り出した虚構により生じた矛盾」と断じて差し支えないでしょう。
 
第5状況
Bはサイドミラーとバックミラーで後方確認する。白又はシルバーの車を認めるが、充分行けると思い、方向指示器を出すと同時にハンドルを切った。
 
 この白又はシルバーの車というのがA車であり、充分行けると思われる距離であったが、A車の速度が速かったために接触されてしまった。
 というのがB側の主張で有り、Bが言う事故態様なのですが、、そうでしょうか??
  それが本当にA車であったのなら、その前を走っていた白い軽トラはどこに消えたのでしょう。
 Bの供述通りであれば、Bが後方確認したときにはすでに軽トラはBの横を走り抜けていたのかもしれません。
 そうすると、Bが後方確認した時点のAの位置は、Bの後方27~28メートル後方だという事になりますから、 時速50キロで走行していたとすれば、時間にして僅か3秒程度の距離です。
 いくら確認したのは鏡だとは言え、その秒数の距離が車線変更に可能な距離だと言えるでしょうか。そう思えるのであれば、車の操縦そのもが不適格でしょう。
 それでもそこで車線変更したのだと強弁しているのは、こうしないと、「急に左に車線変更しようとした」 という事故態様が作れないからに違いありません。
 
  Bは、その事故態様によって、少しでもAの責任を担保する事で職場に提出したという事故報告書の正当性を確保し、脇見運転の噓を守りたいと思ったのではないか。
  Bはこの後、「A車が後方から接触して来て事故が発生した。事故直後はA車は自分の左後ろに停止して居た」という有り得ない供述をしました。
  車両のフロントバンパーとフロントフェンダーなどの前部同士が接触しているのに、しかも後ろから来て当たった車が自分の前に抜けずに後ろに停止しているという矛盾。訳が分かりません。


 元、法律家の方にコメントを頂いたのですが「自己矛盾供述」という用語があるそうです。

 

>これが刑事であれば書面と違うことを言った(自己矛盾供述といふ)だけで内容の真実性を証明するためでなく、こいつのいふことは信用できないといふことを証明する(弾劾証拠といふ)ために証拠とすることができます。

 

と言う事ですが、「弾劾証拠」初めて聞きました。 用語からして刑事事件はギシギシと音をたてていそうです。
ただ >民事裁判ではではそのやうなことはなくどう考えるかは裁判官の自由です。
ということなので、じゃあ判事さん。そこのところをしっかり着目して下さいね。ということですね。
実際には後ろから追突してきたBがAの前方に出て止まったので、供述の通りの形で停止していた事になります。
色々聞かれている内に、Bは現実に起こったことと、自分たちが作り上げた虚構を混同してしまったのでしょう。ついに馬脚を現しました。

 

  皮肉なことに、これが Bが証言した随一の真実   であり、この証言が今までの自分の供述を全て覆すことになると思われます。
 
 さて、これらの事やサイドミラーカバーの傷跡について、裁判官はどう判じるでしょうね。 ドキドキします。
 
 
 蛇足ですが……
 この事故の推移を書き起こしていて、私の頭に浮かんできたのは教授や仲間から聞いた光市の母子殺害事件の事でした。
 
 余りに次元の違う事件なので、これは比較するという事ではありませんが……。
 
 記録や当時の新聞記事をググると、あの事件で被告人は、「幼女の首に巻いた紐は締めるためでは無く、蝶々結びにして天袋に遺体を入れておけばドラえもんが助けてくれると思った」とか、
「母親を絞殺後、屍姦したのは生き返って欲しいという思いから」などの訳の分からない供述をし、弁護団は、被告人にはそう信じる根拠があった。という方針で闘争したと書かれています。
 何てふざけた弁護団でしょう。

 これによって、被告人は何も反省して居らず、社会復帰したら再犯の可能性が極めて高い。と万人が感じたのではないでしょうか。

 死刑廃止を標榜する弁護団が、被告人のためでは無く自らの主義・主張のために被告人を死刑にしたのです。

  弁護団が本当に被告を救いたかったので有れば、被告が反省し、罪を償う方法と機会をどのように得て造り醸成していくか、その課程の中で生きる意義と処刑の意味を理解させていく。そんな方法しか無いと、私には思えます。
 
  Bさんの弁護士のなりふり構わないやり方を見て、噓や言い訳が横行する法廷闘争の在り方を考えさせられました。
 証言台での宣誓は、一体何の意味があるのでしょう。 あれ、形骸化した只の儀式です。
 
 「天網恢々疎にして漏らさず」と「天は悪い人に必ず罰を与える」は、被害者母子の夫で有り父である本村洋氏がよく言っていた諺だそうですが、本件事故を起こしてなお、反省も謝罪も無くAの過失を言い立てるB被告にもこの諺の意味を知って頂きたいものです。