「嬉しかった。ありがとう」
「光栄でした。感謝します」
意味合い的には、ほぼ同じのこれらのフレーズに
あなたはどんな感じを受けるでしょうか。
プロコミュニケーター・実践心理カウンセラーの長澤りえです。
こんにちは。
心理学の領域で、長く語られている命題「ブーバ・キキ効果」をご存じでしょうか？
被験者に下記の図を見せ、
これらの図形には、それぞれに「ブーバ」と「キキ」という名前がついてますが、
どちらが「ブーバ」で、どちらが「キキ」でしょう？
と尋ねる実験です。
すると、98%の人が左を「キキ」、右を「ブーバ」と答えるというものです。
心理学の領域では、まだこの命題は解けていませんが、
「言葉の音」いわゆる音韻に対して
世界の98%の人が、反応する何かが存在するのです。
「嬉しかった。ありがとう」には、溶け合うような親密感を
「光栄でした。感謝します」には、距離を感じるどこか冷ややか感を
感じませんか？
「慇懃無礼」という言葉がありますが、
後者はそれに近い感じがします。
言葉の発音体感は、潜在意識にある印象を作り出す
子音の作り出す感性
子音は息を制動して出す音。
言葉の発音体感の質（口腔内で起こるチカラの質）は、
発音時の「行きのジャマの仕方」によって作られる。
母音の作り出す感性
母音は息を制動せずに、声帯振動だけで出す、自然体の発声音。
自然体で素朴、ドメスティック（私的、内的、家庭的）な印象があり、
ふと心を開かせる音。
母音を自然体で発声するとき、その力が、
解放感を伴うのか 【あ】
前に向かって強く出るのか 【い】
こもるのか 【う】
奥に退くのか 【え】
包みこむのか 【お】
など、三次元的なイメージを作り出すのが母音です。
言葉の音のうち
子音は質感を
母音が三次元イメージ（動きを伴う空間イメージ）を
作り出して、言葉全体のイメージが出来上がっています。
前出の
「嬉しかった。ありがとう」には、溶け合うような親密感を
「光栄でした。感謝します」には、距離を感じるどこか冷ややか感を
感じるのは、
前者が「訓読み」の言葉で構成されていて、
後者が「音読み」の言葉で構成されているせいです。
「訓読み」とは、
漢字の意味を表す日本語の読みで、聞いただけで意味がわかるものが多い
「音読み」とは、
昔の中国の発音をもとにした読みで、聞いただけでは意味がわからないものが多い
中国＝子音語族の言葉の発音をもとにしているので
同じ日本語でも、違う質感を与えていると考えられます。
メラビアンの法則はここでは何度か出していますが、
どの質感の言葉を選ぶかは、
7%しかないコンテンツ（話の内容、言葉の意味）ではなく
どうやら残り93%のプロセスの「話し方」に含まれると
考えられますね。
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