第二章 ~隼~ 第9話
俺は大学の講義が嫌いだ。
法学部なんかにしたのは間違いだったかもしれないと、
今更ながら思う。
法律っていうものは、
既に作られたものを、
誰か偉い学者が解釈して、
それをどうやってなぞるかの学問にすぎないような気がした。
新しい発見もなければ、
自分流にアレンジして勉強することもできない。
研究者になって深く学んだり、
新たな法律を作る官僚になろうってんなら話は別かもしれないが。
季節は本格的な冬を迎えようとしていた。
そろそろ自分が何をやりたいかを考えるべき時期だと周囲が動き出しはじめた頃、
俺は、大学の中庭にぼんやりと座っていた。
薫が大学に来なくなって、
もう既に3週間は経っている。
薫と最後に会ったあの日は11月だってのに、
ずいぶんと寒かった気がする。
買ったばかりのモッズコートに袖を通したあの日、
薫から衝撃的な話を聞かされた。
翌日からは秋の陽気がまた戻り、
ずいぶんと爽やかな日が続いた。
しかし、そんな爽やかな日々の中、
薫からの連絡は途絶えたままだった。
3,4日学校に来なかったので少々心配になり電話をしたが、通じない。
俺は薫の携帯の番号とアドレスしかしらないため、
それ以外に連絡のとりようがなかった。
もしかすると、
また警察で取調べを受けているのかもしれない。
そんな気がした。
そして、やってもいない罪を認め、
裁判手続へと移行するのではないかという気すらした。
だが、俺にはとめる術はない。
タバコをわけてやるくらいしか、あの日もできなかった・・・。
そんなことを考えてぼんやりしていると、
ベンチに座る俺の目の前に、
誰かが立っていることにふと気付いた。
立ち止まる必要があるような場所ではない。
明らかに自分に用があるのだろうと思い、
俺は顔を上げた。