2005年 4月25日


JR宝塚線の宝塚発 同志社前行き快速電車が
尼崎駅に到着する手前のカーブで
120km/hという高速度で進入し脱線、
沿線のマンションに衝突して乗客106名と
当該運転士の計107名が死亡する
鉄道事故としても稀に見る大惨事が起きました。


あのときの状況は事故直後にニュースで見て
あまりにもひどい映像に絶句した覚えがあります。
事故の1年前にも通った場所でしたし、見覚えのある場所で
あんなに激しい事故が起きたことが信じられませんでした。
でも、報道は残酷なくらいに現実を伝えていました。

事故後、現場を通って黙祷を捧げたことも記憶に新しいです。




当初、JR西日本の発表では
脱線したときに車輪がバラストを破砕して
線路に付着していたことを見て「置石説」を
高らかに発表したようです。

しかし、その説明が直後に脆くも崩れ去ったことは

言うまでもなく、直接的要因は定かではないものの

間接的な事故要因として
「ATS装置の不備」が挙げられたことは
現時点では周知の事実としてみなさんもご存知でしょう。


私はそれを聞いて耳を疑いました。
「アーバンネット」と称されている、それなりに乗降客の多い
関西都市圏の路線にあってATSが未設置であるということは
全くもって信じられなかったからです。


それを考えると、ATSがなかったことにより
「猛スピードでカーブに進入する事象を回避できなかった」という
未然の防止策を講じなかったJR西日本の経営責任は
決して免れないものであることを立証したのです。

現在も係争中の事件ですが、裁判という舞台においては
責任の多寡を争うだけのものなのではないでしょうか。
これは間違いなくJR西日本側の「過失」によって
被害が拡大してしまった大事故なのですから。





この事故が起きたのは6年前ですが、私は何か
今の日本で大きな問題になっているもうひとつの事故と
不思議な・・・いや、不気味な「一致」を見てしまうのでした。

それは、東京電力 福島第一原子力発電所による
津波が起因となった大規模放射性物質漏洩事故との共通点でした。


自然の猛威が人知すら軽く超越することは否定できません。

想定以上の津波が来てしまったというのは
周辺地域の被害からもわかる通り、それは紛れもない事実です。
原子力発電所の特性から、沿岸に建てられていると
津波というリスクはある程度考えないといけません。


但し、「事故」と呼べるのはあくまで津波による
直接的被害が及んだ部分のみに限られている思うのです。
問題はそれから先のことや、原子力発電所が
福島県浜通りに建設された経緯のことでした。

第一、福島県は東京電力の「営業エリア外」です。

これでもおわかりの通り、東京電力は原子力を

エリアではない福島県に「付け回した」のです。


東京電力は津波の想定について、事故後の報道によって
かなり甘く見積もっていたということが発覚しました。
周囲の警告に聞き入れる耳を持たず、危険な原子力を
「安全」と言いくるめて地元自治体に誘致したのですから
この事故で信頼は根底から崩れ去ったと言わざるを得ません。


また、放射線物質が漏れた経緯などについても
東京電力・政府・原子力安全保安院という
バラバラな組織が全て責任逃れで対岸の火事のごとく
説明が足並み揃わない状況にも地元の方たちは
苛立ちや不信感を深めている事実が露呈しました。


「原子力は安全」・・・それは「事故を起こさない」という
大前提の上に立っていなくてはいけない言葉であって
事故を起こしてしまっては元も子もないのです。

周辺自治体どころか、福島県全体が風評被害に見舞われ
その事態は日本全体にも蔓延してしまっています。

農業・漁業・畜産・地域生活・製造業……日常が全て

原発事故による放射性物質漏洩によって破壊されました。


事故リスクが置き去りにされ、危険なものを「安全」と言い続けた罪は
決して免れないものであると言わざるを得ません。
事故そのものは津波という「天災」によるものでしたが、
それ以外は「人災」というべきお粗末なものでした。





宝塚線の脱線事故


東京電力 福島第一原発事故


起きた状況・経緯は違えど、危機管理については
両社とも大いに甘かったというそしりは決して免れません。


大企業は経営などについてはリスクを取りながらも
攻め続けなくてはいけないと思っています。

しかし、人命が奪われたり被害が起きてしまうということには
「行き過ぎの手前」までリスク回避をしなくてはいけないのです。
それを軽んじて怠ってしまったことは、両社に共通します。


事故で信用が失墜した後でも、現場や最前線では
その両社の社員の方や関連企業の方は働いています。
彼らには何ひとつ罪はありません。むしろ、その場に立っていて
経営陣のケツを拭いている「被害者」でもあるのです。

そんな社員の方たちはどうか非難や暴言を吐かずに
「頑張ってるな」とか「ご苦労様」と思って下さい。

責任回避に躍起になって、結局は真っ先に逃げたり
うっちゃったりしている経営陣は大いに叱責すべきです。

そして、彼らから真っ先に腹を切ってほしいのです。




長い文章ですが、最後まで読んでいただき

誠にありがとうございます。