シーズンの成績によって、対戦と会場が
決定するクライマックスシリーズ。
1 福岡ソフトバンクホークス 
2 埼玉西武ライオンズ 
3 千葉ロッテマリーンズ 
CS進出チームが以上のようになり
ファーストステージ(2戦先取)は西武ドームで、
ファイナルステージ(4戦先取・1位には戦前に1勝付与)は
福岡Yahoo!ドームでの開催が決まりました。
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ファーストステージ
埼玉西武の本拠地・西武ドームで行われた試合は
2試合とも埼玉西武が先制して優位に進めますが
終盤に追いつかれ、勝ち越しを許して2試合とも
逆転で千葉ロッテが制して通過します。
序盤でリードしながら、終盤で追いつかれ
敗れてしまうという展開が繰り返されたのは
千葉ロッテのギリギリでのCS進出を決めた勢いが
そのまま残っていたことや、勝利に対する執念が
戦い方にも反映されたものと考えます。
また、初戦で勝ち越し本塁打の福浦と
2戦目に勝ち越し打を放った井口と
勝負所に強い選手がいる強みも感じられましたね。
一方で埼玉西武は抑え投手が打ち崩され
ムードが良くなかったような気がします。
初戦にクローザーとしてリーグ最多セーブの
タイトルを獲得したシコースキーが乱調、
2戦目も小野寺・長田が1失点ずつ……自慢の
西武投手陣のほころびが目立った試合でした。
また、期待されていた3番・中島の不発も
波に乗れない一因だったかも知れません。
2戦目には2安打と気を吐いたものの
得点につながりませんでした。
また、4番の中村が本調子ではない中で2戦とも
先制打を放つ活躍を見せましたが
その前後が不発で大量得点に至らないままでした。
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ファイナルステージ
勝ち上がった千葉ロッテが
福岡ソフトバンクと対戦。
リーグ優勝の福岡ソフトバンクに
戦前から1勝のアドバンテージが付与。
2008年からこのフォーマットで実施されています。
第1戦は
杉内-
成瀬の
エース左腕同士の先発。
投手戦の様相を呈した試合は5回表
唯一と言ってもいい杉内の失投を
大松が逃さず3ランで先制。
このリードを守った成瀬が完投で1勝し
対戦成績をタイに持ち込みます。
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第2戦、ソフトバンク先発の和田は
1回表にロッテ清田に先制弾を浴びるも
失点はその1点だけに抑え、味方の反撃で
2点のリードをもらい完投劇を演じます。
これで2-1とソフトバンクがリード。
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第3戦はロッテ先発のマーフィーが
初回にバント処理の悪送球で傷口を広げると
暴投で三塁走者の川崎が生還。
この1点が重くのしかかりソフトバンク先発の
ホールトンの好投に加え、自慢の中継ぎ陣が
しっかり期待に応えての完封リレーを演じて
早くも王手をかけて第4戦に臨みます。
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ところが、この4戦で千葉ロッテが粘りを見せます。
ソフトバンク先発の陽から、2回に今岡が
2季ぶりの本塁打で先制すると
その後も小刻みに9回までに4点を取ります。
ロッテ先発の渡辺俊介は8回まで無失点の好投、
9回裏に反撃をくらい2点取られるものの
その後は小林宏之に託して2勝目、踏みとどまります。
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勝負の分かれ目は、もしかしたら
この5戦目にあったのかも知れません。
大隣-
大嶺で始まった試合は
ロッテ大嶺がいまひとつの状態のまま
初回、小久保にタイムリーを浴びて早々に
先制点を献上してしまいます。
そして、2回途中でロッテは早くも大嶺を諦め
小野晋吾を起用します。この危機の中でも
小野は持ち味を発揮して6回途中までロングリリーフ。
一方のソフトバンク先発の大隣は絶好調。
球数も少なく、目立ったピンチも少なく好投を見せます。
ところが、6回にその好投の大隣を降板させ
ファルケンボーグを投入します。
そのファルケンボーグも6回表を
わずか7球で抑え期待に応えます。
シーズン中から貫き通した形にこだわる
秋山監督の采配も、6回までは成功していました。
7回表、ソフトバンクは投手交代をすると思いきや
ファルケンボーグを2イニングス目に……これが
結果として裏目に出てしまいます。
ロッテ井口・サブローに連続長打を浴びて同点に
追いつかれてマウンドを攝津に託します。
しかし、その攝津も悪い流れを止められず
ロッテの代打・福浦に勝ち越しタイムリー、
そして里崎にもライトへの二塁打を打たれて
この回3失点、救援失敗となってしまいます。
対するソフトバンクも8回裏に
ロッテ伊藤からオーティズがタイムリーを放ち
1点差まで追いすがります。
しかし、9回表にソフトバンク森福が
ロッテ清田に2ランを浴びて突き放されると
そのまま逃げ切られて、ついに3-3となり
最終戦にもつれ込む大激戦となりました。
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そして、最終第6戦の先発は
第1戦と同じ
杉内-
成瀬という顔合わせ、
どちらも中4日での登板となりました。
中盤までは息詰まる投手戦の様相で
4回まではどちらも攻撃の糸口をつかめないまま
試合が続いていきます。
しかし、その様相が一変したのは
5回表でした。
制球が定まらないソフトバンク先発の杉内は
2死から連打を浴び、四球を加えて
満塁のピンチを背負うとロッテ・井口に押し出し死球。
意外な形でロッテが先制すると、続くサブローにも
四球で連続押し出し。さらに今江には
タイムリー二塁打を浴びて4失点で降板。
一方、千葉ロッテ先発の成瀬は
7回まで被安打2という好投で
ソフトバンク打線を0点に抑えます。
流れを譲らない成瀬の好投に応えたのは
8回表、ソフトバンクのファルケンボーグにスイッチすると
ここまであまりいい当たりが出ていなかった
ロッテ・金泰均にライトオーバーの2塁打が出て
5点目を取ると、続く大松がライトスタンドへ2ランを放ち
連夜のファルケンボーグ攻略となりました。
これでロッテは7-0と大量リードを取ります。
8回、9回もマウンドに立った成瀬は
そのまま投げ抜いて何と完封勝利。
最後はソフトバンク・小久保がショートライナーで
ロッテ・西岡のグラブにボールが収まり
大逆転で千葉ロッテの日本シリーズ進出が決定しました。
この対戦では、両チーム対照的な
選手起用が目立ちました。
特に投手の交代が勝負を分けたとも言えます。
もっとも象徴的だったのは第5戦、
千葉ロッテは大嶺があまり良くないと見るや
すかさず小野晋吾にリリーフを託します。
その結果、流れを渡すことなく
反撃につながる結果をもたらしました。
千葉ロッテはことごとく、短期決戦の戦い方に徹して
スクランブルに近い起用を駆使して戦い抜きました。
一方の福岡ソフトバンクは
好投していた先発の大隣を
あと1イニングくらい問題なく行けたと思った場面で
ファルケンボーグに交代させました。
長いシーズン中でも信頼し続けた中継ぎ陣ですから
最もいい形=ベストの投手起用にこだわった
その采配自体は決して問題なかったと思います。
ところが、2イニングまたぎとなると
あまりシーズンでも経験していなかった分
いまひとつだったような結果を招いてしまいました。
もし1イニングであれば、短期決戦なので
攝津だけではなく森福・甲藤も1イニング単位で準備して
満を持して馬原で締めくくれたのではないでしょうか。
そして、攻撃面で言うと
ロッテは福浦が効果的な打撃で
試合を決めてくれたり、復帰した里崎も
勝負強い打撃を見せてくれました。
さらに、古巣に対して井口が気迫を見せたり
トライアウトを経て移籍した今岡も活躍しました。
また、今江・大松といった
今後を担う中心選手がチャンスで打ち
今季、頭角を現した清田も効果的な
本塁打で流れを引き寄せました。
ソフトバンクは攻撃があまり振るわず
打線がうまくつながらなかったことで
苦戦を強いられた感が否めません。
松中・小久保・多村の中軸もなかなか乗れず、
オーティズも爆発できませんでした。
そして、上位打線では本多が気を吐いたものの
1番の川崎が今ひとつ乗り切れませんでしたね。
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こうして、クライマックスシリーズは
千葉ロッテの日本シリーズ進出が決まりましたが
シーズンの最多勝率=パ・リーグ王者は
福岡ソフトバンクだったことは事実です。
短期決戦の難しさ、悔しさを感じたとは思いますが
優勝は本当に素晴らしい結果だと思います。
それは、みなさんが称えなくてはいけません。
そして、何よりその素晴らしい王者と
戦うことができたからこそ、ここまでの
激戦を演じることが出来たのだと思っています。
最後に、千葉ロッテの西岡選手が
福岡ソフトバンクのファンの方々がいる
スタンドにあいさつしたときに送られた
ソフトバンクファンのみなさんのあたたかい拍手や
お互いの選手・スタッフが
称え合いながら握手や抱擁を交わす場面は
本当にあるべきスポーツマンとしての姿を
ファンに見せてくれた素晴らしい1シーンだったと思います。
フォーマットのことなど、とやかく言う人もいますが
これは全体で決めたことなので従うのが筋ですよね。
そして、こうしたポストシーズンの熱戦を
見られることを考えたら、概ねCSという制度は
成功したのではないかと思いました。