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鈴と空のブログ

読んだ本の紹介を簡単に。
あとは気になる人やニュースなんかについて思ったことを書こうかなと。
たまに真面目なことをかいたりもするかも。

検事の本懐/宝島社
¥1,500
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県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、
連続放火事件に隠された真相を歪める………『樹を見る』
出所したばかりの累犯者が起こした窃盗事件の、
裏に隠された真実を抉る………『罪を押す』
同級生を襲った現役警官による卑劣な恐喝事件に、
真っ向から対峙する………『恩を返す』
東京地検特捜部を舞台に
“検察の正義”と“己の信義”の狭間でもがく………『拳を握る』
横領弁護士の汚名をきてまで、
恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く………『本懐を知る』
骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が、
見事に融合した極上の連作集。
――――― 表紙袖より


個人的評価 : ★★★★☆


『最後の証人』に出てきた元検事の佐方弁護士、
その彼が検事をしていた頃の話。


佐方弁護士というキャラクター自身にはあまり強い記憶は残っていないけど、
『最後の証人』はわりと面白かった、好きだという印象だったので
これもそれなりに期待して読んだんだけど、なかなか好きだった。


正直なところ、最初の『樹を見る』はちょっと期待外れで、
いくらかテンションも落ちてしまったんだけど。

県警のお偉いさん同士の対立だのが絡んでいるとはいえ、
素人の私ですら引っかかることを揃って見逃す警察の駄目さが厭で。
佐方の優秀さ、有能さを描く為に他をわざと下に置くのかと思って。


派手に正義や信念を振りかざす熱血漢ではないけど、
相手が悪徳警官だろうと東京地検特捜部の上司だろうと
淡々と自分の信じるものを貫く佐方がとても素敵だ。


銀色の絆/PHP研究所
¥1,680
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栄光を勝ち取るか
無残に打ちのめされるか
これはもう遊びではないのだ

『犯人に告ぐ』『クローズド・ノート』をしのぐ興奮と感動!
フィギュアスケートの世界を舞台に母と娘の葛藤を描く、
著者渾身の長編小説

「藤里小織の最大の伸びしろは、あなたにあると思ってます」
夫の浮気で離婚、娘の小織とともに名古屋へと転居し、
無気力な日々を送っていた藤里梨津子だったが、
フィギュアスケートの名コーチに小織の才能を見出され、
娘を支えることに生きがいを感じ始める。
スケートクラブ内の異様な慣習、

元夫の会社が倒産したため途絶えた養育費、
練習方針を巡るコーチとの軋轢――
人生のすべてを懸ける梨津子の思いに、
小織はとまどいながらも成績を上げていき、やがて……。

スポーツ小説の臨場感×家族小説の醍醐味=雫井脩介の最高傑作
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


私には合わなかったようだ。
楽しむというところまでたどり着けなくて、
何とか最後まで読んだ、という感じだった。


私がフィギュアスケートについてほとんど知らない、
というのが大きな原因なんだろうな、とは思う。
ニュースのスポーツコーナーで目にする程度にしか知らないから。


名前は知っている(聞いたことがある)けれど、
それを文字で見たところで
どんな技なのかが分からない(頭の中に浮かばない)ものだから
スケートの描写の度につまづいちゃって苦労した。


スポーツの部分はそんな感じだし、

家族の部分も正直物足りないように思えちゃう。

確かに家族(特にスケートをする娘とそれを支える母親)の物語ではある。
小織と母だけでなく、他の母娘の姿も。
なんだけど……。


帯に書かれている他の色々も、どうにも。
例えばコーチの弁当作りの当番といった「異様な慣習」にしても、
元夫の会社の倒産と姑との不和から「途絶えた養育費」にしても、
目指すものが大きく高くなればこその「コーチとの軋轢」にしても。


どれもこれもが帯の文句から想像(期待)したよりも

随分あっさり片付いちゃって。
片付いたというよりは

梨津子にとってさしたる問題ではないように思える、というか。


どこをとっても私には合わなかった、ということなのかな。


ニンジアンエ/集英社
¥1,890
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昭和十八年、ビルマ。
日本軍に同行した若き新聞記者が突きつけられた「戦地の真実」とは?
迫真の長編戦争小説!

ニンジアンエ――
それは、戦争遂行に必要不可欠な「ある行為」。

インパール作戦前年のビルマ。
新聞記者の美濃部は日本軍の英印軍討伐に同行する。
捜索が順調に進むほどに、美濃部の胸中にいくつもの疑問が生じていく。
捕虜になったイギリス人は、なぜ不遜な態度を崩さないのか?
ビルマ人の人質はどこに消えたのか?
すべての謎が解けた時、美濃部は「戦地の真実」を突きつけられる。
それぞれの正義と信念を圧倒的な筆力で浮き彫りにした傑作長編。
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


古処さんを読むと、これまでに意識したことのない戦争を知る気がする。
きちんと知った、学んだとはとても言わないけど。


日系人、看護師、今回なら記者というそれぞれの立場、
その立場の中での在り方だったり。

そのそれぞれの人たちの闘う相手だったり。
それは敵国の人間に限ったことじゃなく。
むしろそれ以外のものの方が多くて。


知らなかった、意識してこなかったというのは
私が普段、小説にしても映画・ドラマにしても、
戦争を描いたものをあまり積極的に手に取らないせいかもしれないけど。


あなたの本/誉田 哲也
¥1,470
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あなたの知らない誉田哲也の七つの世界がここに広がる
憧れの都会で流されるままに暮らす女の血脈。
深き森で暮らす原始人たちの真実。
ごく普通の男子中学生の前に現れた天使の目的。
父の書斎で発見した一冊の本に翻弄される男の運命。
天才スケート美少女を見守り続ける少年の淡い初恋。
すべてを手に入れたミュージシャンが辿り付いた場所。
警視庁新宿署新宿六丁目交番に勤務する諸星巡査長の意外な日常――
引き込まれるストーリー、予想外な結末を堪能せよ!
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★☆

3つ寄りの4つ。


7編収録の短編集ということでどの話も短め。
どれだと具体的に挙げはしないけど、
結末(オチ)が想像出来てしまってその想像がさほど外れていない、
というものもある。


けど、その話も含めてわりとあっさり好き。
「これは大好きだ!」というほど強いものではなく、あっさり好き。


『あなたの本』のラストは「うわぁ……」だった。
そんな結末も嫌いじゃないけど。


自分の人生が描かれた本なんて見つけたくないな。
そんなもの見つけてしまったら、と思うとゾッとする。
それを読むべきか読まないべきか、その悩みだけで破綻しそう。
読むのも怖い、読まずにいて悲劇を避けられないのも怖い、で。


妖精鬼殺人事件 (魔界百物語01)/吉村 達也
¥1,575
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2011年5月――

精神分析医・氷室想介のもとに赤いリボンの女が相談にやってきた。
そしてまくし立てたのは9・11同時多発テロ陰謀論。
2カ月後、電力不足の灼熱地獄にあえぐ夏の東京で、

彼女の幼い息子が14階の自宅から転落。
そのとき少年は室内にひとりきり。
警察は事故死と判断したが、

調査に訪れた氷室の目の前で第二の事件発生!
少年の死は心のバランスを崩した母の犯罪かと思われたが、

氷室は意表を衝く実行犯を突きとめる。
そして背後にひそむ殺人狂QAZとの対決が、いよいよ始まった!
ミステリーの王道をいく「意外なヒント」「意外なトリック」「意外な犯人」。
全百巻の開幕にふさわしい謎めいた人物QAZの登場。
ストーリーも100%一新。
よりスピーディーに、よりハートフルに

生まれ変わった「魔界百物語」から目が離せない!
――――― Amazonより


個人的評価 : ★★★☆☆


子どもの死の真相が残酷だ……。

殺されること自体がそれ以上ないくらいに残酷ではあるんだけど、
こんなやり方。

最期の瞬間あの子がどんな気持ちだったかと思うと。

信じていたものが全部ひっくり返されて。
むしろひっくり返ったその理由には気付かなかったか。
その方がまだいくらかましだろうか。


複雑でドロドロしそうな人間関係もたくさん出てくる。
自分が産んだ子と上手く向き合えなかったり、
夫婦の間に生まれただったり、

最初からあった(なかった)ものだったり、
思惑があってのご近所との関係だったり。


おまけにその結果は相当に苦い。

だけど、あまりしんどすぎず読めたのは

氷室という好きなキャラクターのおかげか。




あまりに突然の訃報に驚いた。
百巻の構想だったそうだけど。
残念。
QAZの正体等に関しては後々お知らせ、とのことだけど
本当はやっぱり百巻読んでみたかったよな。
ご冥福をお祈りいたします。