- 犯人のいない殺人の夜/光文社
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犯人がいないのに殺人があった!?
でも犯人はいる。
あなたに挑戦する本格推理小説
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★★☆
短編集ということもあってあっという間に読んじゃったんだけど、
わりと面白かった。
中学生のあの子が真相を知ってしまう日は来ない方がいいかな……、
と思う『踊り子』。
真相を知ることは彼にとってとんでもない衝撃だろうから。
踊り子の結末を知らないままでいることは残酷だろうと思うけど、
それを知ればきっと自分とその出来事の関わりも知ってしまうだろうし。
彼女ももっと別の選択はできなかったのか……、と思わなくもないけど。
3ヶ月の赤ちゃんが殺された事件の真相はあまりに惨い……、
と思う『闇の中の二人』。
たった3ヶ月しか生きられなかった赤ちゃんもだけど、
そんな命を手に掛けてしまった、そこまで追い込まれてしまった側も
あまりに哀しくて。
犯人をそこまで追い込んだあの人にものすごく嫌悪感。
アーチェリー選手の彼女はどんな気持ちであれを準備したのかな……、
と思う『さよならコーチ』。
ネタバレになりそうでこれ以上書くのが難しいけど、
諦めか恨みか哀しみか憎しみか怒りか、その色々が混じったものなのかな。
という3編が印象的。
素直に楽しめなかったのも1編。
遺体の頭部に遺された証拠から
刑事が見抜いた殺害後の犯人の行動、その光景には
思わずグッと来そうになってしまったけど。
そう思う(思い込む)までに色んな苦しみがあったのは事実なんだろうけど、
それにしたって別に○○が悪いわけじゃなかろうに、なんて。
私はその○○に大して特に愛やら思いいれがあるわけじゃないけど、
なんとなく腑に落ちないと言うか何と言うか。