『倒立する塔の殺人』 皆川博子 | 鈴と空のブログ

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たまに真面目なことをかいたりもするかも。

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)/皆川 博子
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「わたくしは、わたくしを裏切った相手を、狂わせるつもりでおります」
死の影と虚無感、奇妙な部屋の謎、物語に秘めた企み……
残酷で甘やかな少女たちの物語
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★☆☆


戦時中のミッションスクール。
図書館の本の中にまぎれて、ひっそり置かれた美しいノート。
蔓薔薇模様の囲みの中には、タイトルだけが記されている。
『倒立する塔の殺人』。
少女たちの間では、小説の回し書きが流行していた。
ノートに出会った者は続きを書き継ぐ。
手から手へと、物語はめぐり、想いもめぐる。
やがてひとりの少女の不思議な死をきっかけに、
物語は驚くべき終末を迎える……。
物語が物語を生み、秘められた思惑が絡み合う。
万華鏡のように美しい幻想的な物語。
――――― 表紙袖より


「美しい幻想的な」と上にも引用したけど、
一番強く残る印象は「耽美」。


美しくはないだろうものもたくさん描かれてはいる。
戦争やその終わりがもたらす死やら変化やら。
今ほど自由ではない人間関係の中で生まれる暗い感情とか。


そんな美しくないものもたくさん描かれているのに
全体に漂う雰囲気は確かに「美しい幻想的」なもので。


そういう雰囲気というのは普段好んで読むものとは違う。
むしろどちらかというと苦手だと自分では思っているんだけど。


なのに、何故か気になってしまう皆川作品。
気になっているのに未だ読んでいない、というのもいくつかあって
それもきっと読んでしまう気がする。


この「妙に気になる感じ」は何なんだろう。
皆川さんのお歳を知った衝撃のせいか。