『震災キャラバン』 高嶋哲夫 | 鈴と空のブログ

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たまに真面目なことをかいたりもするかも。

震災キャラバン (集英社文庫)/高嶋 哲夫
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2011年3月11日、東日本大地震が発生!
かつて阪神・淡路大震災で被災して、

再建を果たした神戸の中華料理店。
そのアルバイト店員・清美は気仙沼近くの出身で、

実家とまったく連絡がとれない。
店主の長男・勇太は、トランペットのオーディションを諦め、
彼女を実家に送るため、支援物資を載せたバンを走らせる。
なんとか彼女の故郷にたどり着くが……。
復興への込めて綴る長編ロードノベル。
――――― 裏表紙より


個人的評価 : ★★★☆☆


高嶋さんの描く震災ということで、想像したのは『M8』『TSUNAMI』。
でも印象は随分と違ったな。
まず単純にページ数が圧倒的に少ないということもあるんだけど、
内容も。


親を亡くした子ども、何もかもを流された人たち、
避難所間の格差やそこでの寒さ、食料・物資の不足などなど
震災直後の厳しい話も描かれてはいるんだけど。


さらには、正直なところ未だ少し早いんじゃないか、
なんて思ってしまったりもする。

現実に起こった震災を描いていて、
とてもたくさんの人が亡くなり、大切な人を喪い、
元の生活を取り戻していない人も未だたくさんいる最中であることを思うと。


でも、私は厭ではなかった。
希望や救いの見える

(出来すぎているという言い方もできるのかもしれないけど)展開も
最初は多少のイラつきや嫌悪感を覚えたこともある登場人物も。


自ら現地へ行くことは叶わない各地で起こる色んなこと、
それらを世界中の人が知るためにも、

そこで必要な支援を広く訴えるためにも
報道というものの力が大きいというのは解ってはいる。


でも、大事な人を亡くして涙を流す人や

見つからない家族を必死に探す人、
そういう人たちにカメラを向けてマイクを突きつけて
「他に何を言わせたいのだ」と思うようなことを喋らせようとするのを見ると、
何だか厭な感じがしたりもする。
出会ってしばらくの加藤がそうだったみたいに。