『無罪』 深谷忠記 | 鈴と空のブログ

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たまに真面目なことをかいたりもするかも。

無罪/深谷忠記
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無罪判決が下された時、本当のドラマが始まる。
愛する息子と妻を通り魔に殺された男。
我が子を殺しながら、心神喪失で無罪となった女。
刑法第39条の壁で隔てられた、
被害者、加害者双方の苦悩と葛藤を描いた、
二転三転の書下し心理ミステリー。
――――― 帯より


個人的評価 : ★★★★☆


「二転三転の書下し心理ミステリー」という印象はあまりないけど、
それでも39条や死刑や被害者(遺族)や加害者などなど、
色々と興味深くて面白かった。


39条か……。
前にも書いたような気がするので
今回は39条について色んなことは言わないけど。


直ちに廃止というのは無理にしても、
“原因において自由な行為”について

考え直さなければいけないのは尤もだと思う。

自分の意思でなったんじゃなかろう病気と、
自分の意思で摂取した薬物やアルコールとを一緒にするのは無理がある。


母に殺された子どもの遺族であるあの人のしたことは嫌な気分になる。
自分の姿を見せて精神的に揺さぶるというあのやり方もどうにも陰湿な感じで。

でも、遺族であるあの人を「最低だ」と言い切ることもできなくて。
あの人が事件でどれだけ苦しんだか、
事件の後の家族の姿にどれだけ心を痛めていたかということがあるから。


通り魔事件の遺族の受けた衝撃は想像もつかない。
それも1度ならず2度までも。


2人の遺族のそれぞれの苦悩、葛藤、後悔。
どれもが興味深かった。
加害者に事件後に出来た新しい関係者の揺れや葛藤も。