- ダーティー・ユー/高嶋 哲夫
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いじめは犯罪なんだ
人が脅されて怖がっている。
苦しんで、悩んで、最後に自分を殺してしまう。
それしか方法がない状態に追い込まれる。
いじめは遊びじゃない、いじめは犯罪なんだ。
「イントゥルーダー」(サントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞)
「スピカ―原発占拠―」に続く、衝撃の問題作。
授業の間中、伸一のことを考えていた。
犬の真似をしながら、ぼくを見上げた哀しそうな顔や、
黙って体操着を差し出したとくの表情を思い出した。
アメリカに行きたいと言ったときの、すがりつくような目と、
新藤に土下座したときの思い詰めた顔がダブった。
(中略)
その日、伸一はそれっきり教室には帰ってこなかった。
――本文より
――――― 帯より
個人的評価 : ★★★★☆
前に中嶋博行さんの本で読んだときにも感じたけど、
いじめは犯罪だ、というのには大賛成。
やってることは暴行傷害恐喝脅迫……。
「いじめ」って言葉にも充分
陰湿さは卑劣さは含まれてはいるけど
ついでに“悪ふざけの行き過ぎ”というか
“あまり大事にしない方がいいんじゃない?”
というようなニュアンスも感じてしまう。
(「万引き」って言葉も同じだろうけど)
アメリカでの生活があるとは言え、
中学生がいきなり弁護士を雇うというのは少々驚いた。
けど、それでも
(その驚きがマイナスだと思う暇もないくらい)一気に読んだ。
いい友達・家族がいるという弁護士の言葉も納得だけど、
そもそもユーが強いんだろうな。
もし自分なら、と考えるととても真似できない。
元いじめられっこ(肉体的な暴力なんかはなかったけど)
としては自殺に関して担任・岡本の言うことは少々痛い。
その言い分も、当時のいじめっこたちと離れて時間が経ち
身近な人や友人後輩の死を何度か経験した今となってはわかる。
ただ、まさに渦中に居ると
そんなこと考える余裕もなかったりすることだってあるのに、
それを考える余裕がないというのが
追い込まれてる・苦しんでる証なのに、って。
岡本がどうしようもない奴で悪人として描かれてるならともかく
そうじゃないからこそ少々痛い。
話の都合上仕方ないんだろうけど。