- 自由殺人 (角川ホラー文庫)/大石 圭
- ¥700
- Amazon.co.jp
ある日、突然、殺人を選択する自由が
あなたに与えられたら、どうしますか?
謎の人物から送られてきた爆弾。
それを手に入れた人物たちは、
エゴと怨念を剥き出しにしていく。
元マラソンランナーの朝香葉子もまた、
爆弾を受け取った一人だった。
しかし、彼女は何のためらいもなく爆弾を警察に届ける。
犯人はそんな葉子に、あるゲームを持ち掛けてきた。
人間の業を深く、そして鋭く描いたホラーの新境地!!
――――― 裏表紙より
個人的評価 : ★★★★☆
なかなか面白かった。
これはホラーなの…?
爆弾を受け取った人間がそれをどうするのか、
葉子は「あるゲーム」に勝てるのか、
気になってぐんぐん読んじゃう。
葉子はただただすごい。
自分が諦めたせいで爆発が起こったとなれば
確かに良心は痛むだろうし苦しいだろうけど、
「自分には責任はない」「できる限りのことはやった」
って充分思える(自分に言い訳できる)くらい頑張ったのに。
周りの人間だって責めはしないと思うのに。
それでもまだ走り続けるあの強さは
持って生まれたものとしか言い様がないんだろうか。
爆弾をばら撒いた黒幕が誰かってことについては
そんなに驚きはない。
そんなことができる人物なんて限られてるし。
けど、やっぱり気持ち悪い。
見ず知らずに等しいくらいの関わりしかない相手に
とんでもない殺傷能力を持つ爆弾を贈りつける心境、
自分の行為が何人もの無関係の人間を殺すとわかっていながら
(むしろしれを期待して)爆弾を置いてくる心境。
それぞれどんなだろう。
もし自分が爆弾を受け取ったらどうするだろうか。
なんて考えたんだけど、きっとさっさと警察に届けるな。
それは正義感だとかではなく、
単に小心者だから、怖いから。
そんなものを自分の手元に置いとくのは怖い。
警察に届ければその時点で
自分の責任の範囲から出てってくれる(と思える)から。