- 深泥丘奇談 (幽BOOKS)/綾辻行人
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誰も見たことのない「綾辻行人の世界」
京都の奥には、何かが潜んでいる・・・。
深泥丘病院の屋上で見た幻鳥、病院の地下へと続く階段、
痛む歯、薄れゆく街の記憶・・・
作家である「私」がみた日常が一瞬にして怪談に変わるとき、
世界は裏の顔を表す!
物語の舞台は、作者が生まれ育ち、
現在も居を構える古都・京都を彷彿させる町。
語り手である「私」の家は
「町の東地区、北寄りの山ぎわ」「紅叡山の麓のあたり」にある。
物語の始まりは、晩春の黄昏時。
自宅から少し離れた「深泥丘」周辺を散策していた語り手は、
突如烈しい眩暈に襲われ、
行く手に見かけた「医療法人再生会 深泥丘病院」を訪れる。
そこは入院設備も整った、古びた四階建ての小病院だった。
一話目の「顔」は、精密検査を勧められ短期入院することになった語り手が、
病院内で奇怪なモノを目撃する話。
「ちちち……と、最初はそう聞こえた。――ような気がした」という
特徴的な冒頭の一節といい、妖しげな病院が舞台となっている点といい、
主人公を見舞う記憶の混濁といい、綾辻行人版『ドグラマグラ』。
ところが二話目の「丘の向こう」に至って、
物語のパースペクティヴは俄然、一挙に拡がりを見せる。
深泥丘の向こう側に散策の足を伸ばした語り手は、
そこに鉄道の線路が走っていることを知り愕然とする。
帰宅後、妻にその話をすると、それは「Q電鉄の如呂塚線」であり、
終点にある如呂塚遺蹟を見物に、
二人で出かけたこともあると指摘され、
語り手の困惑はさらに深まってゆくのだ。
いにしえの水都の幻影が顕ちあらわれる「長びく雨」、
歯科治療をめぐり作者一流の生理的恐怖描写が冴える「サムザムシ」、
微妙にクトゥルー神話を彷彿させて心弾ませる「開けるな」、
京都名物・五山の送り火が、シュルレアリスム絵画さながらの
幻視の光景へ一変する傑作「六山の夜」、
秋祭りの夜に病院で開催される奇術ショーの
奇怪な顛末を描く「深泥丘魔術団」、
語り手の自宅周辺に謎の生き物が出没する「声」……
自宅と病院を楕円の両極とする語り手の散策=夢幻彷徨が、
驚異と幻想の地誌学とでも称すべき光景を開示し、
謎めいた世界観の全貌が、精妙な手つきで明らかにされてゆく――
本連作に秘められた奇計は、未だその片鱗を覗かせたばかり。
(推薦文・・東雅夫)
――――― Amazonより
個人的評価 : ★★★☆☆
ものすごくお久しぶりの綾辻さんだろうか。
ここ(アメブロ)で書くのは初めて?ってくらい久しぶりだ。
なんとも不気味で薄気味悪くて心地が悪い。
一番好みだったのが収録されてる中での異色作。
ってことは、全体としての評価は…。
綾辻作品の中では「あっさり」なのかな。