『光と影の誘惑』　貫井徳郎

もう後戻りは、できない。
その一線を越える瞬間―――。
誘拐、密室、現金強奪、出生の秘密……
驚愕のどんでん返しで魅了する、強力４連弾！
―――――　帯より

個人的評価　：　★★★★☆

密室の話以外はわりとしんどい終わり方だけど面白かった。

「驚愕のどんでん返し」なんて帯で言っちゃってるから
相当煽られてたせいで驚きも若干目減りした感はあるけど、
それでも誘拐のと出生の秘密のは驚いた。

誘拐の話はほんとに意外な終わりで。
あんな風に事件が終わるとは思ってなかったので。
真犯人からとある事実を聞かされて殴りかかった瞬間と
最後にパトカーに乗り込む瞬間が別人みたいに感じる。
それが混乱とか悲しみの表れかと思うと痛々しいけど
物語の展開・終わらせ方としては嫌いじゃない。

「出生の秘密」というテーマで書かれた小説、となると
ハッピーな秘密じゃないだろうというのは想像してたけど
想像以上に複雑な事情の絡んだ秘密で。
ごちゃごちゃ続けずあの言葉で終わるのはすごく好き。

読んでるときは驚いたり面白いと思いながら読んでたんだけど

こうして書いてて改めて「どれが一番好きか」って考えると難しい。

誘拐のと現金強奪のはどうも後味が悪いし

出生の秘密のもその「秘密」自体が悲劇的だと思うし。

密室のは終わりに多少の救いを感じるけど、

キャラクターそのものがまだそんなに馴染まないというか

この話だけ４編の中で若干雰囲気が違う感じがしてしまうし。

なので一番好き、を選びにくい１冊だった。

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