イタリアに来てあっという間に10年以上の月日が流れてしまった。
そういうわけで、今までのイタリアでの生活やら何やらを備忘録のように綴ってみようと、ブログを再開してみることにいたしました。
再開、と言うことで、じゃあ過去にもつけていたのかと言いますと、9年ほど前に『紅モザイコ、藍モザイコ』というのを書いておりました。
http://blog.livedoor.jp/rieinouchi/
外国に住んでいると、いくら母語とはいえ、日本語の瞬発力が衰える。
これはまずい、ということで始めた、日々雑感のようなものでした。しかし、はじめはどんどん、しばらくたつと蛇口から出る水の勢いが衰えるように更新回数が減り、最後はぴちゃん、ぴちゃんと水滴が滴るがごとく年に一回、マイケル・ジャクソンの命日に更新するだけになりましたとさ、
ポォーーーーーウ!
ッダ。
私の住む町はイタリアの真ん中、「緑の心臓」と呼ばれるウンブリア州にあるのですが・・・13年も経つといろいろ変わったこともあっただろうか?
毎日過ごしているとあまり意識することもないけれど、ここ数年世界を襲っている不景気の影響はイタリアにも確実に波紋を広げていて、私が来たころと比べると個人商店が減ったり、治安が悪化したり、町の清掃が行き届かなくなったり(ちょっと風情のある細い路地を通るとショ***臭い)、公共料金が値上がりしたり・・・と、目に見えて悪くなってしまったことが、残念ながら沢山あります。
しかしそのいっぽうで、
-こんな時代だからこそ、お客さんの心を掴んで行きまっせー。
ということだろうか、13年前には考えられなかったような細やかな、ある意味日本寄りのサービスを受けることが増えてきた。
ある日、タクシー会社に電話を掛けたときのこと。オペレーターではなく、運転中の運転手さんが無線で答えました。必要なインフォメーションをもらって電話を切る。
携帯電話を机に置いたとたん、またどこからか電話がかかってきた。出てみると、さっきのタクシー会社からだ。運転手さんからではなく、事務所かららしい。不審に思って相手の言うことを待っていると、
-お客様、先ほどのお電話で、当方の運転手がひとつ大切なインフォメーションを差し上げるのを忘れたもので、お知らせしようと思いまして。
・・・えへぇ!するってぇと、なんですか、それをわざわざあっしに仰るのに電話してくださったんで?
驚きのあまり、卑屈なほど腰の低い対応になった。最後は明らかに言いすぎなほど"Grazie, Grazie mille(「ありがとうございます。」)"を連発して電話を切った。
だって、ねぇ、だんな、お忙しいのに、こんなあっしのために、へへっ。
日本的には普通のことなのかもしれないけれど、イタリアの、わりと大雑把な客あしらいに慣れている身としては衝撃だ。電話を切った後も、しばし感慨に浸ってしまった。
そのほかにも、郵便物の配達係の人が在宅確認で事前に電話をくれたり、不在のときにも携帯に電話をくれてアポイントメントを取ってくれたりする。ローマで予約したホテルが、空港からのシャトルバスの案内のために電話をくれる。スーパーの無人レジで、係りの人がきちんと説明してくれる・・・などなど、思わず、ご丁寧にどうも、とお礼を言いたくなるようなことが、最近はある。不景気の中での、生き残りを賭けた進化でしょうか。
とはいえ、郵便局に行って、お客をそっちのけに同僚と話し込んでいる人間くさーい人たちを見るにつけ、イタリアめ!とイライラしながらも、思わず「こいつ。」と人差し指で頭を軽くどついてやりたいような愛情も感じる今日この頃なのでありました。