就職失敗で自己否定
若者のキモチ

教育・心理カウンセラー 玉永 公子

 M君は大学卒業後、就職に失敗し、コンビニでバイトをしながら実家にいて、2年が経っていた。正規の就職をしなければと思うのだが、何をするにも、もう遅いと感じ、誰かに意見を聞きたいとやって来た。
 自分のことが好きじゃなく、自信もなく友人もいない。パソコンと向き合って、ゲームをしているときだけ楽しく感じる。自分に何かの障害があれば、就職をしなくてもよいと言い訳ができるのだが、と言った。
 彼の問題点は性格的なものなのかと考えてみたが、「自己概念の低さ」に焦点を当てて話し合うことにした。
 自己概念とは、自分のことを自分自身がどのように捉えているかということである。
 私は、M君の自己評価に問題があるのではないかと想定したのである。そこで、自分について書いてもらうと、彼は「1、経験不足。2、すべてに消極的。3、人より劣る。4、バカ」と書いた。
 これらのネガティブ(否定的)な自己概念をポジティブ(肯定的)なものに変える必要がある。
 そこで、「1、経験はこれからいくらでもできる。2、ゲームには積極的になれる。3、自分にも普通にできる面がある。4、バカという観念は幼稚すぎる」など、M君の自己評価を見直していくことを数回続けた。
 そして、自己概念の高低と、人生での成功不成功には、相関関係があることなども話した。つまり、自信と自尊の気持ちが成功につながると。
 さらに、認知心理学者のマーチン・セリグマン博士の提唱する楽観主義についても話した。
 セリグマンは「職場も学校も、成功は才能と意欲の結果であるという一般的な推論のもとに機能しており・・・しかし、才能と意欲が豊富にあっても、楽観的なものの見方が欠けている時には、失敗に終わることもあるのだ」と述べている。
 M君は、就職の失敗から、自分には才能がないという結論を持った。そのように悲観的な姿勢で生きていくと、失敗の人生になることは疑いないと話す。
 「何をするにももう遅いではなく、何もかもこれからだ」と、ポジティブな生き方をしようと話し合っているところである。