夏場の恐ろしい食中毒は、家庭の食事でも発生しています。普段の生活で、どのように注意していけばいいのでしょうか。今回は、(社)日本食品衛生協会の高谷幸(さとし)常務理事に食中毒を防ぐポイントについて聞きました。
なるべく生ものは控える
 夏場は、気温も湿度も高くなり、食べ物が痛みやすくなるとともに、私たちの体の方も抵抗力が弱まりがちな季節です。一年のうちで最も食中毒に気を付け、十分留意が必要といえるでしょう。
 とはいえ、私たちは日常生活を無菌状態で過ごすことはできません。食中毒の原因となる殺菌は、常に身の回りにたくさんいます。そのことをよく自覚した上で、食中毒にならないように賢く暮らしていくことが大切です。
 以下、特に夏の注意点を挙げていきます。
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 当協会では、食中毒を防ぐ観点から、暑い時節に限っては、魚や肉などの「生もの」を食べるのは、なるべく控えるように呼び掛けています。
 実際に、夏は刺し身料理から多くの食中毒が発生しています。特にお年寄りとお子さん方は、くれぐれも注意して、家族も配慮するようにしてください。
 また、よくありがちなのは、食料品を買った後に、別の店に行ったり食事をしたりするケースです。この〝寄り道〟の間に、生鮮食品はどんどん傷んでいきます。
 買い物などでお出掛けの際は、食品の買い物は一番後回しにし、購入後は早めに帰宅して、生鮮食品はすぐ冷蔵庫・冷凍庫に保管しましょう。
包丁・まな板にも留意を
 家庭での重要なポイントは、「小まめに手を洗う」こと。手に菌を付けないように努める、洗い落とすことです。
 調理の前後や最中、食べる前、片付けの後にも、よく洗いましょう。
 調理中、生の肉や魚や卵を扱う前と後は、必ずせっけんで手指を洗います。
 またトイレや赤ちゃんのおむつ替えの後はもちろん、鼻をかんだり髪を触ったり、犬・猫などのペットをはじめ動物に触れたりした後も、しっかり手洗いを励行してください。
 手洗いの基本は、▲時計・指輪を外す▲水でぬらす▲手洗いせっけんを付けて泡立てる▲手のひら・甲・指の間・親指と各指(指先も)・手首をよく洗う▲流水で十分すすぐ▲清潔なタオルやペーパータオルで乾かす――となります。
 調理中に、特に留意したいのは、包丁もまな板も、肉・魚・野菜用に、それぞれ使い分けることです。
 生の肉・魚を切った包丁・まな板を、そのまま野菜・果物を切るのに使うのはやめましょう。
 包丁が1本しかない場合、小まめに洗剤で洗い流してから、それぞれを切ります。
 まな板が1枚しかない場合も、小まめに洗剤で洗うか、まな板の裏表面ずつを使ったら、あとは開いた牛乳パックを用意しておき、内側をまな板代わりに使用します。この牛乳パックの再利用はお勧めです。
 なお包丁は、刃の付け根部分、つまり柄と刃の境目部分をよく洗わずに、不潔な状態にしがちです。注意してください。
しっかり加熱すること
このほか、調理後は目安として2時間以内に食べるようにしましょう。室温で食品をそのまま置いておくと、殺菌が付いたり増えたりします。保存するときは冷蔵庫・冷凍庫に入れましょう。
 カレーやスープを作り置きする場合がよくあります。これもできるだけ小分けして冷蔵庫で保存し、食べる前には必ず一度煮沸してください。加熱して調理する食品は、夏は特に十分加熱することが大切です。
 電子レンジを使用する際、熱の伝わりにくい物や加熱場所にムラのできる物は注意が必要です。まんべんなく加熱できるよう、時々かき混ぜるなどの工夫をしましょう。
 食肉や乳製品、調理パン、おにぎりなど、私たちの身近な食品には、大変恐ろしい食中毒を引き起こす細菌が潜んでいるものです。夏は海や山などへ家族でレジャーに出掛け、持参したお弁当や野外でのバーベキューを楽しむなどの機会も増えると思います。細菌は一定の温度で急激に増殖します。移動時に携帯する食品・食材の保存温度と時間には、くれぐれも気を付けてください。
 家庭でも食中毒を防ぐためにすべきことは、どれも決して難しいことではありません。とにかく原因となる菌を「付けない・増やさない・殺す」――これが食中毒予防の三原則です。
 当協会のホームページでも、この三原則を基にした食中毒予防の詳しいポイントなど、いろいろな食品衛生に関する情報を紹介していますので、参考にしてみてください。
http://www.n-shokuei.jp/