寒い時期は『体を温める』工夫を

 転倒による骨折、風呂場での体調急変――お年寄りの事故は、意外と家庭の中で起きています。特に寒い時期、高齢者の暮らしで心掛けるべき点は何か。今回は、リハビリテーション科や脳神経内科などの専門医で日本東洋医学学会員(漢方)、白ゆり総合リハケアクリニック(神奈川県・横須賀市)院長の金田建志医師にイドバイスをお願いしました。
「冷え」は不調の要因に
 人は年を取ると、いろいろな老化現象が起こってきます。
 例えば反射神経が鈍る、足腰が弱くなる、目も不自由になる、細かくて速い動作がしづらい、方向転換がしづらい、二つのことを同時に行うのが難しい(テレビを見ながら家事をするなど)、といった点が挙げられます。
 お年寄りは、つまずきやすくなって、転倒やねんざが増えます。特に女性は、足首のねんざや大腿骨の骨折の症例が多くなっています。そして、これらは意外と家の外より中で起きていることに、注意を払う必要があります。
 冬の寒い時期は、体が冷えます。冷えると体は硬直し、むくみやすくなります。すると、動きもさらに鈍くなります。
 また、冷えが由来の体のトラブルも、たくさん起きてきます。寒くなって関節や腰、ひざの痛みが増すのは、その典型的な例です。若くても、夏場は平気なのに冬場は腰痛がひどくなる方がいます。足が冷えるとイライラしたり、女性の場合は生理不順なども起きます。冷えは年齢を問わず、不調の大きな要因となるのです。
「足湯」は抜群に効果的
 寒い時期の養生の基本は、とにかく体を冷やさない、「体を温める工夫をすること」に尽きます。とりわけお年寄り・女性は、よく温めること・冷やさないことが大切です。
 まず、薄着をしないこと。季節は立春(2月4日)を過ぎて雪解けの春へと向かっていますが、寒さの厳しい時期はまだまだ続きますので、しっかり防寒してください。特に首の後ろと足元を冷やさないように工夫をしましょう。
 足を温めるのに抜群の効果があるのは「足湯」です。足で温められた血流は、おなかのあたりを温め、腎臓を温めます。すると腰やひざの痛みも和らぎます。冷えが原因の腰の痛みが激しかったり、体が冷え切って身動きが取りづらい時などは、まず足湯などで足元を温めることをお勧めします。
 また、体を温める食べ物を取ることも大切です。なるべく肉や魚などの「おかず」をしっかり食べてほしいですね。そして、冷たいものは控え、甘いものには要注意です。
 例えばイチゴなどの果物は、冷蔵庫から出してすぐ食べるのではなく、常温に戻していただくのがいいでしょう。また冷たいサラダなどの生野菜も要注意です。そして、甘いもの、すなわち糖質の多いもの(小麦粉・白米・砂糖)を取りすぎると、体を冷やすというデータがありますので気を付けましょう。ちなみに、おせんべいなどは甘くなくても糖質の固まりです。
 そのほか、家の中でも寒い場所、トイレや脱衣場などに長居しないことです。また、風呂場が暖まっていない〝一番風呂〟は、お年寄りは避けた方がいいでしょう。スペースがあれば、脱衣場に暖房を置くなどの工夫も大切です。

つづく・・・