どのように選ばれるの
 裁判員候補者のうち、辞退を希望しなかったり、質問票の記載だけでは辞退が認められなかったりした人は、選任手続きの当日、裁判所へ行くことになります。
 〈選任手続き〉
 裁判員を選ぶ前に、裁判長は候補者に対し、不公平な裁判をする恐れの有無、辞退希望の有無・理由などについて質問をします。その後、「くじ」でその事件の裁判員を選びます。
 この選任手続きは、非公開で行われるため、裁判員候補者のプライバシーは守られます。手続きは午前中で終わる見通しで、選ばれた裁判員は、その日の午後から裁判を行うことになります。
 〈公開の禁止〉
 裁判員やその候補者が、裁判所に行かなければならない日は、仕事を休むことができます。仕事を休んだことを理由として解雇などをすることは禁止されています。
 また、裁判員などの氏名、住所などを公開することはできないことになっています。裁判員などが本人の情報を公開する場合であっても、その氏名、住所などを公開することはできません。ただし、勤務先に休暇を取る相談をしたり、家族に話したりするとこは問題ありません。
仕事の内容について
 裁判員に選ばれると、ほかの3人の裁判官と一緒に、刑事裁判の審理に出席し、判決に至るまで関与することになります。
 刑事事件の審理は、できる限り連続して行われます。審理では、まず、被告人の名前などを確認し、検察官が犯罪の内容を簡潔に書いた起訴状を読み上げ、被告人と弁護人が事件を認めるか否かについて意見を述べます。次に、検察官と弁護人の双方から、それぞれが描くストーリーを説明し、その後、これを証明するための証拠(書類や証人、被告人など)を取り調べます。
 証拠の取調べは、証人や被告人に対する質問が中心で、裁判員も、裁判長に断ってから、質問をすることができます。
 最後に、検察官が最終的な主張をし、被告人に科すべき刑罰についての意見を述べます。弁護人も同様に、最終的な主張を行います。
 法定での審理は、日常の言葉で語り、映像にして説明するなど裁判員に分かりやすい方法で行われる見通しです。
判決によって任務終了
 審理の途中や審理が終わった後に、裁判官と裁判員は別室で、被告人は有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑罰を科すかについて話し合います(評議)。
 裁判官と裁判員は対等に意見を述べることができます。法律上の問題点は、裁判官が説明してくれます。被告人を有罪にすることができるのは、常識に従って判断し、被告人が有罪であることは間違いないと考えられる場合です。
 新聞やテレビなどの報道で得た情報に基づいてはならず、法廷に出された証拠だけで判断しなければなりません。被告人を有罪とするには、少なくとも裁判官1人を含む過半数の賛成が必要です。
 評議は非公開とされており、評議の内容や、ほかの裁判員の氏名などは、外の人に漏らしてはなりません。
 評議に対し、法定で公にされた内容は話すことができます。
 評議の結論(評決)が決まると、法廷で裁判長が判決を宣告することになります。裁判員としての役割は、判決の宣告により終了します。
 裁判員に期待されているのは、証拠を常識的に判断し、冤罪(えんざい)(無実の罪)を防ぐことにあります。恐れることなく、その役割を果たしていきたいものです。

おわり