5月に始まる裁判員制度では、国民から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加します。すでに、裁判員の候補となった人には通知書が送られています。裁判員がどのように選ばれ、どのような仕事をするのか、小原千代弁護士に、分かりやすく解説してもらいました。
候補者になったら
 裁判員裁判の対象となるのは、殺人、強盗致死傷、傷害致死などの重大な刑事事件で、2009年5月21日以後、裁判にかけられた事件が対象となります。国民から選ばれた裁判員が、裁判官と共に、その審理を行うことによって、裁判が身近で分かりやすいものになり、国民の信頼が高まることが期待されています。
 〈調査票〉
 各地方の裁判所は、毎年、市町村の選挙管理委員会を通じて、選挙権のある人の中から「くじ」で選んで、裁判員の候補者の名簿を作ります。名簿に載った人には、年末までに、選ばれたことを知らせる通知書が来ます。最近の報道で話題になったのは、この通知書です。
 通知書には、裁判員の職務を行えないと思われる理由(辞退事由)があるかなどを調査する調査票が付いています。裁判員とならないことを希望する人が①70歳以上である②重病である、などと、調査に答えて返送し、辞退事由等があると判断されれば、裁判員を選ぶ手続きに呼び出されません。
 〈呼び出し状〉
 1年間の名簿の有効期間中に、裁判員裁判の対象となる事件が裁判にかけられると、その名簿の中から「くじ」で選ばれた人が、その事件の裁判員の候補者として裁判所に呼び出されます。
 呼び出しの通知(呼び出し状)は、原則として、裁判員を選ぶ期日の約6週間前までに送られることになっています。呼び出し状が来たら、早めに裁判所に行くための日程の確保をする必要があります。
 呼び出し状には、その事件を前提とした辞退事由などを調査する質問票が付いています。
 辞退事由の例としては、①介護または養育が行えないと、日常生活を営むことができない同居の親族がいる②仕事で重要な用務があり、自分が処理しなければ著しい損害が生じる恐れがある③出産の予定がある、などが挙げられます。
 質問に答えて返送し、辞退事由などがあると判断されれば、呼び出しは取り消されます。

つづく・・・