〝共感の心〟はぐくむ触れ合い
 今では認知度も高まり、地域の子育て支援の制度として定着しているファミリー・サポート・センター。
 「時代とともに、依頼の内容も多様化しています。時にはセンターとして対応できない相談もありますが、その場合、どうすればいいのかを考えてアドバイスしたり、対応できるところへつないだりするケースもあります」と、(財)女性労働協会は説明します。
 「センターの事業は単に子どもを預かるだろではなく、子育てに関する情報の共有や、地域住民の結び付き、安全性を確保していく役割を果たしている側面もあります」
 ◇
 充実した活動で定評のある、東京・新宿区のファミリー・サポート・センター。ここで特に力を入れているのが、提供会員への講習です。子どもの心理学や応急処置、保育の基本など4日間、安心して活動に入れるよう、研修を受けます。
 「きちっと研修を受けることが提供会員の自信になります。安心・安全に、けがや事故もなく、預かったそのままの状態で保護者にお返しすることが大前提です」と、同区・社会福祉協議会のアドバイザーは語ります。
 提供会員に多い年配の世代には、地域の子どもたちや若いお母さんと接することが張り合いとなり、現代の子育てしづらい環境で奮闘する、若い世代への共感をはぐくんでいるといいます。
 「〝共感の心〟が得られることは、報酬以上の恩恵ではないでしょうか」と、同協議会の担当課長は強調します。
 また若い依頼会員にとって提供会員との触れ合いは、自身の子育てに関する気付きや社会性を高める機会にもなっていると、アドバイザーは指摘します。「申し込み当初は、この制度を〝低料金のベビーシッター〟と勘違いしている方もいます。しかし、説明会で認識を深め、実際に援助を受ける中で自分が住む地域での支え合いを知り、考え方も変わっていく方が多いです」
 地域の〝子育て力〟向上に貢献する相互援助活動――同協議会では、「気軽に、率直に、何でもセンターに相談してみてください」と呼び掛けています。

おわり