学生ではなく、職に就かず、職業訓練を受けていない若者――いわゆる「ニート」の増加が社会問題化して久しくたちます。特定非営利活動法人(NPO法人)「育て上げ」ネット(東京・立川市)では、金銭教育からニートを予防するというユニークな取り組みを進めています。同法人の松野賢太郎・企画広報部主任に、その内容について聞きました。
生活費はどれくらい必要?
 ――金銭教育を考えたきっかけを教えてください。
 ニート状態だった方に、どのようなことを学校で学んでおきたかったかと聞く機会がありました。すると「生活費がどれくらい必要なのか、知っておくと良かった」という声が多く聞かれました。
 進学や、一人暮らしをするための費用などを学校で教わっていれば、もう少し、働くことの意味を自分なりに理解することができたのではないか、ということでした。
 お金の話は、学校教育ではあまり行われませんが、お金と労働は密接につながっています。ですから、早い時期からお金の理解を深めれば、働くことにも前向きになり、ニート予防につながると思います。
 特に高校生にとっては、将来、自分が望む生活スタイルを維持するためには、いくら必要なのか――これを知ることで、身近に迫った進路選択をより現実的に考えられるのではないでしょうか。こうした意識に立ち、金銭教育プログラムを行っています。
 ――金銭プログラムとは?
 「MoneyConnection R」と呼ばれる、ゲーム形式で、1カ月あたりの生活費用、多様な雇用形態と収入の違いに関する基礎的な知識を学べる教材です。金融会社「GEコンシューマー・ファイナンス株式会社」と共同で開発しました。
 2007年度から本格的にスタートしました。これまでに、高校を中心に全国約120会場で講師を派遣して実施し、1万5000人以上が受講。ゲーム形式で、グループ単位で意見を言い合いながら行うので、楽しみながら学ぶことができ、生徒からも好評です。

つづく・・・