男女共に、仕事と生活を両立できる生き方を実現させようとする「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)の取り組みが注目されています。女性と仕事の未来館(東京都港区)では、現在「ワーク・ライフ・バランス展」(明年3月26日まで)を行っています。展示内容を通して、自分らしい働き方と、暮らし方について考えてみましょう。
約6割が「知らない」と回答
 ワーク・ライフ・バランスとは、文字通り「仕事と生活の調和」という意味です。
 日本の社会は今、少子高齢化の急激な進行や労働力不足の深刻化、さらには格差社会の弊害など、さまざまな問題を抱えています。そうした中、仕事と生活の調和を目指し、女性だけでなく男性も含めて、自分たちの働き方を見直そうという新しい考え方が、ワーク・ライフ・バランスなのです。
 女性と仕事の未来館の地下1階にある企画展示ロビーに入ると、「ワーク・ライフ・バランスの基礎知識」の各種パネルが並んでいます。
 まず、「ワーク・ライフ・バランスについて、知っていますか?」という、昨年6月の内閣府の調査結果が目に入りました。それによると、約6割が「名前も内容も知らない」と回答しています。
 仕事と生活が調和する社会を実現するためには、私たちが、その重要性をよく理解することが大切です。これまでの働き方では、個人や企業、そして社会も、発展できないことを知り、新たな働き方を考え、行動するという意識改革を進める必要があるようです。
 次のパネルは、ワーク・ライフ・バランスの取り組みの経過が紹介されています。
 2007年12月、政府と経営者、労働者の代表は、「ワーク・ライフ・バランス憲章」と行動指針を作りました。憲章では、仕事と生活の調和の実現に向けて、大きな方向性を示しています。
 その目指すべき社会の姿は、一人一人が充実感をもって働き、家庭や地域生活においても、子育て期、中高年期などの各段階に応じて、多様な生き方が選択・実現できる社会だとされています。
 また、行動指針では、憲章を受け、14の数値目標を交えて、企業や働く者、国や地方自治体の施策方針を具体的に提示しています。
行動指針に掲げられた目標
 ①働くことで経済的自立ができる社会
 若者が結婚や子育てなどに向け、経済的基盤が確保できる社会を実現するための目標(代表例)が設定されています。
 ◎就業率
 25~44歳の女性の場合、現状は64.9%だが、2017年までに69~72%にする。
 60~64歳の高齢者の場合、現状は52.6%だが、2017年までに60~61%にする。
 ◎フリーターの数
 現在187万人を、2017年までに147.7万人以下にする。
 ②健康で豊かな生活の時間が確保できる社会
 働く人の健康が保持され、家族・友人との充実した時間や、自己啓発や地域活動に参加する時間を持つための目標です。
 ◎週労働時間60時間以上の雇用者の割合
 現状の10.8%から、207年までに半減させる。
 ◎年次休暇取得率
 現状の46.6%から、2017年までに完全取得させる。
 ③多様な働き方・生き方が選択できる社会
性や年齢にかかわらず、誰もが、さまざまな働き方や生き方に挑戦できて、子育てや親の介護などの状況に応じて、柔軟な働き方ができ、しかも公正な処遇が確保されている社会を目指すための目標です。
 ◎第1子出産前後の女性の継続就職率
 現在38%から、2017年までに55%にする。
 ◎育児休業取得率
 女性の場合、現状72.8%から、2017年までに80%にする。
 男性の場合、現状0.5%から、2017年までに10%にする。
 ◎男性の育児・家事時間(6歳未満児のいる家庭)
 現状1日60分を、2017年までに、1日2.5時間にする。

つづく・・・