楽しみやリラックスがあってこそ、発揮される
 ――具体的には、どうすれば?
 当然のことでしょうが、何であれ、好きなところを見つけることです。自分なりの目標を立てたり、夢を持ったりと、自分がやりたいと思えることであれば、つらさや苦しみも乗り越えていくことができます。
 もう一つ重要なのは、やりがいや楽しみ、リラックス、心のゆとりがあって、はじめて集中力も発揮されるということ。常に、そうした全体的な視野でとらえなければ、自分を単に追い込むだけになってしまいます。
 仕事や学業の成果もあがりにくい。
 ――何かを達成することができれば、それによって、やる気や集中力もさらに高まりますね。
 成功体験を積めば、「オレもやれば、できるじゃないか」「まんざらでもないな」と、自己価値観や自己受容が高まるわけです。
 自己価値観が上がれば、他者のそれも認められるようになります。つまり、他人のいい部分を褒めたり、励ましたりすることができるようになる。
 あせりや不安の中で苦しむ人に接する時でも、「~するべきだ」「~すればうまくいくはず」という「問題解決型の支援」ではなく、相手が心理的な圧迫から放たれるように、ゆっくり話しを聴いてあげる「情緒的な支援」に徹することができるに違いありません。
 不安で何も手につかないという人は、何をすべきかについては分かっている場合も多く、情緒的な支援こそ必要なのです。
 そんなふうに、自らのやる気や集中力が、豊かな人間関係をつくることにも通じると考えれば、いっそうモチベーションも高まるのではないでしょうか。
さいとう・まさひろ 1953年、東京生まれ。NPO日本教育カウンセラー協会の認定カウンセラー。個人向けカウンセリングのほか、年間200以上の講演や講座を行う。NPO法人「市川カウンセリングルーム」理事。創価大学非常勤講師。
おわり