子どもが友達と仲良く過ごしている姿を見ると、親はとても安心します。ですが最近は、人間関係が希薄になり、友達付き合いが苦手な子どもが増えているといわれています。そうした課題を解決するために、何が大切なのか。20年以上、教職を務め、現在は教育評論家として活躍する親野可等(から)さんに聞きました。
学力にも影響
――友達付き合いの変化が、子どもの生活にどのような影響をもたらすと考えますか。
社会生活を送る上で、人間関係はとても大切です。どんなに優秀な人でも、人間関係がうまくできないと、良い仕事はできません。仕事は一人ではできないからです。自分の能力を十分に発揮していくためにも、良好な人間関係を築くことが大事になってきます。
このように、大人の仕事にとって人間関係が重要であるのと同じく、子どもの学力向上にとっても、人間関係が大切です。友達付き合いがうまくいかなければ、勉強に集中できません。
人間関係の土台は、親子関係にあります。日常の親子関係で学んだことを、子どもは友達に対する言動に生かしていくのです。
親子関係には、大きく分けて2種類あると考えています。信頼を基盤にしたものと、不信を基盤にしたものです。
親子関係に不信があると、普段の人間関係がうまくいきません。学校の子どもたちを見ていても分かります。
例えば、子ども同士が廊下でぶつかったときに、普通は「ごめんね」「悪いね」と言います。でも、親子関係がうまくいかず、不信が前提にある子の場合は、「なんだよ」「よざけるなよ」と攻撃的になりやすいのです。
もっと褒めよう
――親子の信頼関係をはぐくむために、どのような心がけが必要ですか。
いろいろあると思いますが、突き詰めると「親の言葉遣い」でしょう。子どもに、気持ちの良い言葉、前向きな言葉を普段から使っているかどうかです。
「もっとしっかりしなさい」「~しなきゃ駄目」というマイナスの言葉を日常的に使っている場合は、注意したいですね。こうした言葉は、聞く方にとっては不快なものです。不快感が重なると、不信感になります。
もちろん、「僕のために注視してくれている」と、頭では分かります。親を信頼したい気持ちは、強いものです。しかし、心の奥にある部分のコントロールが、効かなくなります。
マイナスな言葉を聞くうちに、「親から好かれていないのでは」「僕は必要のない人間なのだ」と考え、親に不信を抱くようになってしまうのです。
そして周囲の友達にも、親の言葉をまねてマイナスの言葉を使うようになるのです、友達付き合いがうまくいきません。
――気を付けていきたい点ですね。
子どもに対して、できる限り、前向きな言葉を使いましょう。「~するとうまくいくよ」「だんだん、よくなってきたね」などの言葉を使うことで、伝わり方は大きく変わります。
前向きな言葉を言われ、褒められて育った子は、自分に自信をもつようになり、親への信頼を深めます。
私は、何組かの親子にアンケートを取ったことがあります。親に「子どもを褒めているか」と問うと、4分の3は「褒めている」と回答しました。しかし逆に、子どもに「親から褒められているか」と問うと、「褒められている」と答えたのはわずか4分の1です。
親が思っているほど、子どもは「褒められている」と感じていないのです。
褒めることに、もっと時間を使ってよいと思います。
つづく・・・