じっくり待とう
――早くできる子が優秀な子と考えているのですね。
そうです。しかし、子どもは大人のように早く物事を進められません。
一つ一つに時間がかかります。子どもは大人と違う「ゆっくりと時間が流れる特有の空間」に生きています。まずは、そのことを感じ取ってあげましょう。
これまでの人生で、「早い=良いこと」と教えられてきた親は、気持ちを切り替えていくしかありません。その準備ができる前に、「じっくり待つ」という正反対の価値観を求められるので大変なのです。
――どうすればよいでしょうか。
「早くしなさい」をまったく言わないというお母さんが、「子育てネット」の本作りに集まった36人の中に1人だけいました。彼女は、こう言っていました。
「時間通りにできる子って天才だよ。今は『待つ』しかないじゃない」
彼女はいい意味で、すっきりとあきらめていました。子育ては特別な時間たから、子どもに合わせようと決めていたのです。
このように、心情のコントロールを上手にできる人は、「早くしなさい」を言わないで子育てができるようです。
ただ、大半の親にとっては、頭で分かっていても難しいというのが現実ですね。
繰り返しは効果薄い
――家庭での心がけで大切な点を教えてください。
まず、「早くしなさい」は最初が勝負ということを知ってほしいですね。何度も繰り返して、言う回数を増やしても効果は薄いと感じます。
本当に早くしてほしい時に、気合を入れて伝えましょう。何回も繰り返し言われると慣れてしまい、早くしなくなります。
また、「早くしなさい」は、基本的に親の都合で言っていることも、肝に銘じるべきです。もちろん親は多忙で、やるべきことがたくさんあるから、すべてを子どものペースに合わせて行うことは難しいてじょう。ただ、この点は頭の片隅に入れてほしいですね。
――ほかにありますか
子育て中は、自分が独身時代にできたことの半分しかできないと、割り切ることも必要です。どんな子どもでも、早くすることは難しいのです。子どもの時間の流れに合わせてゆっくり暮らすと、「早くしなさい」を言う回数が減り、親子関係も改善するのではないでしょうか。
思わず「早く」と言い始めてしまった時には、一呼吸してから、「~しようね」と語尾を和らげて言うようにしてみたらどうでしょうか。これを繰り返していくと、だんだんイライラが収まってくるものです。
――最後に一言、子育て中の親にメッセージをお願いします。
子どもは楽しくないと、何事も早くやりません。幼稚園に行くのが楽しみでなければ、朝はグズグズします。朝起きて、早く支度をしないようだったら、なぜなのか考えてみましょう。何か幼稚園で嫌なことがあったのかもしれません。
言葉でしかる前に、まず、想像力を発揮して子どもの立場になってみたらどうでしょうか。気持ちに共感した上で、親の思いを伝えること――この順序を間違えないことが、大切だと感じます。
おわり