情報社会の進展によって、テクノ不安症、テクノ依存症といった新たな心理的問題を抱える人が増えているという。こうした症状が生まれた要因とは?それらを、いかにして克服すればいいのか――この分野に詳しい、今野紀子・東京電機大学情報環境学部講師に話しを聞いて。
年輩の人たちに多い最新技術への強い拒否感
 ――テクノ不安症は具体的には、どのような症状を指すのでしょうか。
 端的に言えば、日進月歩のIT技術についていけず、情報通信機器等に強い拒否感・抵抗感を覚えることで、年輩の方々、特に中高年のホワイトカラーに多いようです。「職場でパソコンをうまく操作することができないと、無能に思われる」と不安になったり、子どもや孫との話題についていけず、疎外感をもったり、それが高じて「自分はダメな人間だ」と、自己否定につながる場合もあります。
 不安症が長く続けば、自律神経に変調をきたしたり、うつ状態に陥りかねません。
 ――どんな対処法が考えられますか。
 自己への認知のあり方を今一度、問い直してほしいと思います。不安症に陥る方は、パソコン操作が上手にできないことで、自分の人間としての価値まで低く見がちです。本当にそうなのでしょうか。パソコンに熟達せずとも、他の能力では十分に高い自己評価が可能なのではないでしょうか。そこにきちんと目を向ければ、自己認識の歪みをただすことができるはず。
 とはいえ、実現的には、パソコン操作とが不得手であることで、職場で若い部下の風下に立たねばならず、心中、忸怩(じくじ)たる思いがあることも理解できます。ですから、〝餅は餅屋だ。パソコンは若い人に任せよう〟と割り切ることも大切でしょう。その上で必要なら、終業後にバソコン教室に通うなどの努力をすればよいのです。
 いずれにせよ、情報機器の操作能力が、人間の価値を決めるのではありません。
 ――一方で、テクノ依存症に陥る人がいます。
 インターネットへの常時接続が広まったことから、部屋に閉じこもり、深夜までパソコンに向かい、昼夜の生活が逆転してしまう若者が増えました。そんなふうに、ネット環境にハマる人をテクノ症依存と呼びます。
 パソコンは、操作に熟達するほど、命令通りに動きますので、一種の万能感にとらわれ、自己中心的になりがちです。匿名サイトでは、面と向かっては言えない過激な言説を、ためらうことなく言えてしまう。
 人と接する時間が減ることで、コミュニケーション障害を引き起こし、実社会に適応できなくなるのです。依存症のもつ怖さです。
つづく・・・