フリージャーナリスト 海津敦子

 皆さんは、自分自身のことが好きですか。「自分を好きでいる」ことは最も必要なことだと思いませんか。
 私は中学生のころ、「自分を好きでもないのに、好きな人に好きになってほしいなんておこがましい」という文章を読み、衝撃を受けました。
 30年以上たちますが、時折、そのことを思い出します。
 親が子に願う思いの一つに、「自分を大切にして生きてほしい」という点があります。
 自分を大切にするためには、自分を好きでいる土台は欠かすことができません。
 では、どうしたら「自分を好き」になれるのでしょう。
 最近、「場の空気を読もう」と、常に周りを気にしている子が少なからずいることに胸が痛みます。周囲の顔色を見て、期待される通りの自分を演じ、自分を出し切れないもどかしさを抱え、疲れているように映ります。
 幼いころから「周りにいる人たちの気持ちを察しなさい」「将来のためには○○ができなくては」と「あるべき姿」を親や先生から求められていたのでしょう。
 自分の本音を話したり、思ったようになってみることを「わがまま」と教えられてきた子たちなのかもしれません。
 自分の本当の思いを出し切ることができないような子が、自分を好きになれるものでしょうか。私は「NO」だと思います。
 小学生のころ、「○○ができたらいいのに」「もっとできるいいね」と、勉強もスポーツも友達関係も、良好に「満遍なくできること」「よりできること」を求めてくる大人は大嫌いでした。今のままでは駄目だと言われているようで、とても居心地が悪くなったものです。
 一方、大人がやらせたいことではなく、私がやりたいことを引き出し、力を貸してくれる大人や、分からないときに「分からない」と言うと褒めてくれる大人が大好きでした。そうした大人の言動から、自信と共に「自分が好き」という気持ちを積み上げてもらいました。
 本音を話し、行動した体験は、自分を見つめ、自分を知ることになります。失敗も納得がいき、成長の糧にできます。ありのままで周囲に認められた経験は、満遍なくできる自分でなくてもよいと、自分の存在に自信をもち、自分を好きになることにもつながます。
 その先では、今度は相手の思いに寄り添いたいという気持ちが芽生え、テクニックではない優しさや思いやりをもつようになりでしょう。
 すべての子どもが自分を好きになり、「生まれてきて良かった」と、毎日を楽しんでもらいたいと願っています。そのためにも、大人自身が、自分を好きになり、人生を楽しむ背中を見せたいものです。
 今回が、この連載の最終回です。短い間でしたが、ありがとうございました。