臨床心理士 吉田 晴美

 小学校高学年の子どもたちや中学生が時に、相談室にやってきて、親や先生、友達に対する不満をぶつけます。
 だいたいは、思い切り吐き出すだけで「すっきりした」と言って帰りますが、中には、それだけでは収まらない子も。大人の目から見れば、友人同士のよくあるトラブルでも、子どもにとってはとても深刻で、一生を左右しかねない出来事とみなしている場合も少なくありません。
 小学6年のE子さんは同じクラスのA子さん、B子さんを中心にした二つのグループから仲間はずれにされ、「学校に行きづらい」と相談室に来ました。今にも泣き出しそうな暗い表情で、一緒に来た母親まで同じような表情をしていました。
 話を聞くと、彼女の学年は1クラスしかなく、女子は全部で15人しかいません。その中に、リーダー的存在の子が二人。グループの人数は、どちらも5人ぐらい。残りの5人は、適当にくっついたり離れたりしているようです。E子さんの口からは、友達関係をめぐる様々な出来事とともに、今の不安な胸の内が語られました。
 「クラスで孤立しているため、休み時間が苦痛でならない」「クラスの子が集まっているのを見ると、悪口を言われているような気がする」「一生、友達がつくれないかも」――。
 E子さんは最初、A子のグループにいたのですが、仲間の一人ともめ、B子のグループに移りました。ところが、A子グループの一人が、E子さんの悪口をB子グループのメンバーに言い・・・A子グループに謝って戻してもらって・・・。要を得ない説明でしたので、セラピストは紙に書いて話してもらいました。
 「これは誰?」「この子とこの子のつながりは?」など、質問するセラピスト。すると、E子さんの表情はだんだん明るくなっていったのです。
 実はこの時、セラピストは、E子さんが経験したことをいったん自分自身から切り離させ、別の経験として語り直させていたのです。その後、同じことを数回繰り返すうち、彼女は「いじめられている、ダメな子」という〝ストーリー〟からはずれてことができ、学校生活を生き生きと過ごせるようになりました。