フリージャーナリスト 海津敦子

〝過ごしにくさ〟に的確な支援

 特別支援教育は、特別な支援が必要な子どもへの教育。
 特別な教育を受けるのに、「○○障がいがある」というような医学的な診断が必要な訳ではありません。特別支援教育は、障がいがあるかないかで対象を線引きするものではないのです。子どもが学校生活を送る上で今、特別な支援が必要かどうかを考えます。
 ちょっと、子どもになったつもりで考えてみてください。
 自宅以外で、一番長い時間を過ごす学校生活で、頑張っても頑張ってもできないことや、分からないこと、困っていることがあり、自信をなくす繰り返しであったら、どうでしょう?しかも、何の手助けもない状態です。きっと心細い思いを抱えてしまうでしょう。けれど、そうしたときに、個々に応じた、手厚く的を射た配慮や指導、支援があれば、子どもの学校生活はぐんと輝くのです。
 的確な支援を行うためには、子どもの様子を観察し、分析することが大切です。
 例えば「友達とすぐケンカになる」「授業中、注意を繰り返されても静かにできない」「周りの人とコミュニケーションがうまくとれない」「先生からいつも怒られている」というように、子どもが学校生活に過ごしにくさを感じていれば、その子の今には、まぎれもなく特別な支援が必要です。
 そこで、担任一人の目で子どもを見るのではなく、あらゆる先生たちが加わり、学校生活が楽しくなるように広い角度から考えます。どういうときにケンカが起こるのか、仲良く友達と過ごせるのはどんなときか。騒ぎ出す授業と、積極的に参加している授業の違いは何か・・・等々、その子のさまざまなエピソードや行動の情報を集め、得意なこと、苦手なことを丁寧に分析し、言動の裏にある思いも探っていきます。
 そして、その分析に基づき、「興味、関心に根ざした教材を用意する」「得意なことを生かし、苦手なことをフォローする」「一番、前の席にして集中力を持てるように声を掛ける」など適切な手立てを考え、実践します。さらには、その手だてが、その子の役に立っているかどうか、きちんと評価し、役に立っていなければ改善することが、特別支援教育では大切にされています。
 特別支援教育の対象となっている子どもの中には、大人になっても特別な支援が必要になる子もいますが、ある時期の短い時間だけ必要という子もいます。先々は分かりません。ただ、「大人になれば大丈夫」と思えても、子どもが過ごしにくさを抱えているならば、その今に、きちんと支援を届けることです。
 子どもが「生まれてきてよかった」と思う毎日を応援するのと同時に、引きこもりや不登校、非行などから子どもを守ることにもつながるのです。