四季折々の情景を織り込みながら、詩情あふれる豊かな心がうたわれている日本の童謡。身近な日常生活に息づき、現在もなお歌い継がれている童謡の魅力について、長年にわたる学校コンサートでも著名な、童謡歌手でNPO(民間非常利団体)法人・日本国際童謡館の大庭照子館長に聞きました。
いいものに触れさせる大人の責任
春を迎えました。日本には、美しい春をうたった素晴らしい歌が、たくさんあります。
例えば、「さくらさくら」「おはながわらった」「チューリップ」「花のまわりで」など、花をうたった歌が、その代表ですね。また滝廉太郎が作曲した「花」や、「菜の花畠に・・・」で始まる「朧月夜(おぼろづきよ)」は、かつての文部省唱歌ですが、これらは不滅の名曲ともいうべきものでしょう。
「一年生になったら」も、初々(ういうい)しい新学期の歌です。これからの時節は「こいのぼり」とか「めだかの学校」などが、ふさわしいでしょうか。
学校や幼稚園、保育園、ご家庭でも、ぜひ童謡をお子さんと一緒に歌ってください。
子どもたちのために、いい歌を選んで触れさせてあげること、良質なものを将来のために、どのように次の世代に伝えていくかを考えることは、大人の責任だと思います。特にお父さん・お母さん方は、少し意識して、聴かせる機会をつくってあげてほしいものです。
各地の講演などで、よく、若いお母さん方にお話しするのは、子守歌は、お子さんの目を見て、心を込めて歌ってくださいということです。
なかなか寝付かない子どもに、〝早く寝てくれないかな〟〝掃除したいのに〟などと思いがちですが、何より自分が落ち着くことが上手に寝かせる近道です。
「揺籃(ゆりかご)のうた」は、平板な一本調子で歌っても効き目はありません。〝もう寝ましょうね〟と優しい気持ちで、ゆっくりとスイングしながら強弱をつけて歌う。これはテクニックというより、心の姿勢だと思います。
保育園や幼稚園の先生方へのレッスンでは、例えば「アイ・アイ」は、「わざとらしく〝かわいらしさ〟を演じるような歌い方はしないでください。20代の先生は20代の若々しい大人の声できちっと歌ってください」と教えています。
子どもの心に寄り添うことと、こびる態度とは違うはずです。童謡は、歌う人の人生をそのまま映して表現することができる歌です。その人らしく素直に歌うことが、一番心が伝わるのです。
つづく・・・