相手の話に耳を傾け、待つ
――新しい友人関係を築くにあたっては、相手の警戒心・反応を勘繰(かんぐ)ってしまうことも・・・。
相手が対人関係を恐れていたり、傷付きやすい人という場合もあるでしょう。ですから、相手に応じた付き合い方をすべきでしょうね。心掛けたい点として、まず「話を聞く」ことです。相手が話したいことに耳を傾け、理解しようとしてほしい。弱い自分、ダメな自分を表現してくれたら、否定したり、激励しないことです。落ち込んでいる気持ちを分かろうと、努力してもらいたい。
もう一つは、「じっと待つ」ことです。人間関係を深めるためには、忍耐強く待ち続ける姿勢が大切です。こちら側の〝心の窓〟を開けながら、待ち続ければ、相手はいつか必ずやってきます。
今の時代、それぞれが仕事や家庭で、いろいろな悩みを抱えています。たとえ悩みを打ち明けてくれたとしても、その原因を追究したり、アドバイスをする必要はありません。臨床心理学者のユージン・ジェンドリンは〝何も話さず、一緒にいるだけでも、人は元気になる〟と論じています。
人間関係を深めるのに、特別なコミュニケーション方法はありません。「話を聞く」「じっと待つ」ことで十分なのです。
――人間同士の深い絆のイメージさえ持てない人もいます。
「心の依存」ができるかどうか、を基準に考えてみればよいでしょう。相手が自分に依存することができれば、それは信頼してくれている証です。相手からすれば、どんな思いも受け止めてくれる存在として、こちらを見ているわけです。親子関係と同様に、「心の依存」は、友人・知人関係にもつくり出すことができます。
出会いの瞬間から、互いに深く理解し合うことは、なかなか難しいものです。だからこそ、相手の立場・気持ちを考慮しながら、相手が語る言葉、何を言いたいかを聞き続け、じっと待つ姿勢を崩さない。コミュニケーションを図る上で、そうした「空気の読み」は欠かせません。
時間はかかるでしょうが、心のきずなは一朝一夕には結べないからこそ、貴重な財産となるに違いありません。
もちろん、主張を激しくぶつけ合う中から生まれる「共感」もあるでしょう。いずれにしても、人間は「感情の動物」であるがゆえに、気持ちが通じ合う。そうした互いの心を尊重する関係を築いていきたいものです。
たかひら・よしあき 1928年、宮崎県生まれ。辺地教育、知的障害児童教育、言語治療教育を30数年間、手掛ける。その間、治療の専門家になるため、10年にわたり、ユング派の精神分析を受けた。日本心理臨床学会名誉会員。著書に詩集『奇妙な果実』(土曜美術出版販売)。
おわり