「いじめ」「ひきこもり」が高年齢化
昨今、若者が幼稚になったと、しばしば言われる。しや、若者をくさす言葉はこれに限ったことではない。劣化した、学力が落ちた、凶暴化した、体力が衰えた、ほかにもさまざまな言い方がある。しかし、それらはどこまで本当のことなのだろうか。
体力はともかく、学力は単純な比較がむずかしい。確かに今の学生は、10年前の学生よりも漢字は書けなくなっているかもしれない。しかし、そのぶん、パソコンやネットなどのメディアはずっと巧みに使いこなしているはずだ。
「凶暴化」については、犯罪白書などの統計をみる限り、そうした事実は存在しない。むしろ懸念されるのは「無気力化」のほうである。
ただし、「未成熟化」ということなら、いくつかの根拠がある。
最近、ある「ひきこもり研究班」に加わって調査研究を進めているのだが、一つはっきりしていることがある。それは「ひきこもりの高年齢化」である。平均年齢はもとより、初発年齢も大幅に上がっている。ひきこもり=未成熟というわけではないにせよ、思春期の問題と思われていたひきこもりが、徐々にそうでなくなりつつあるのが現実だ。
教育現場では、「いじめの高年齢化」が問題になっている。私も初めて聞いたときは驚いたのだが、近年の傾向としてはっきり指摘できるのは、高校生のいじめの増加であるという。かつて、少なくとも20年ほど前までは、いじめの主たる現場は中学校だった。少なくとも、高校生にまでなって「いじめはダサい」という気分がまだあった。だが、そういう考え方はもう通用しないらしい。
精神医療の現場でひそかに「成人年齢30歳説」が囁かれたのは、最近の話ではない。すでに20年前のことである。昨今の成人年齢はさらに上昇して、35歳説、40歳説、あるいは成熟不可能説まで、要するに、若者が劣化したかどうかは一概には言えないまでも、全体的に未成熟化が進みつつあるのは、どうも事実のようなのだ。
つづく・・・