育児・保育コンサルタント 坂原一郎

あるファミリーレストランで食事をしていたときのことです。5歳くらいの男の子を連れた3人家族がやってきました。男の子は当然のようにしてお子さまランチを注文しました。

 しばらくすると、カゴいっぱいのおもちゃが来ました。「この中から好きなものを選んでくださいね」。お店の人はカゴごと置いていきました。

 「よかったね。はい、選びなさい」。お母さんがそう声をかけると、子どもはうれしそうにおもちゃを選び始めました。親子連れのレストランなどでよく見られる、ほほえましい光景です。

 でもその子どもは、あれでもない、これでもないと、なかなか一つには決めかねるようでした。こんなとき、子どもはおもちゃ屋さんで品定めをしているような気になり、それがとても楽しい時間になっているようです。大人のウインドショップのようなものでしょう。

 しばらくるすと、母親が「もうっ、いつまで選んでるの。早く決めなさい!」と怒ったように言いました。子どもは慌てて一つに決めたようでした。

 そのあと10分もたたないうちに、もう一組の親子連れがお店に入ってきました。今度は6歳くらいの女の子です。その女の子も、お子さまランチを注文したようで、そのテーブルにもおちゃのカゴがやってきました。女の子はやはり品定めに夢中です。でも、さっきの親子とは少し様子が違っていました。お父さんが一緒になって選んでいるのです。

 「これはこうやって遊ぶんだよ」「おもしろくなーい」、「じゃ、これはどうかな? ほら、くるくる回って、面白そうだよー」「いらなーい」・・・・・・、なんだか楽しそうなやり取りが続いています。

 「これは、なあに?」「それは男の子のだよ。そうだ、それで遊んで男の子になれば?」「いやだあ」「ハハハ・・・・・・」

 ただおもちゃを選ぶだけのほんの1、2分の間に、その親子の間にはたくさんの笑い声が起こっていました。

 私は、親子の間で笑顔や笑いが起こるか否かは、子ども次第ではなく親次第だと思っています。日々の子育てのどんな場面でも、親のかかわり方次第で、そこに笑顔の花を咲かせることができるのです。

 先のレストランの最初の親子も、もしも男の子の品定めに親が楽しく付き合っていたなら、女の子の家族以上の笑い声が親子の間に起こったかもしれません。

 親に楽しくかかわってもらうと、子どもは必ず笑顔になります。子どもが笑うと、親も思わず笑顔になってしまいます。結局は、自分(親)の笑顔が増えるのです。子どもとは、たくさんかかわってほしいと思います。