住まいの視点で育児を応援
育児中の家庭にとって、子供が健やかに育ち、家族が安心して暮らせる住環境を確保することは大きな願いでしょう。ミキハウス子育て総研は、そうした家族の要望に沿った住宅評価基準「子育てにやさしい住まいと環境」を作成しました。評価基準の取り組みと要点について、同総研代表取締役社長の藤田洋さんに聞きました。
ミキハウス子育て総研には、育児中の母親などから、年間約7000件の相談や悩みが寄せられており、専門家などによるアドバイスを行っています。
そのなかには、育児と住まいに関する事柄も多く、「そうした悩みに答える体系的な裏づけが必要となってきました」と、藤田さんは語ります。
そこで同総研では、母親からの意見やアンケートの結果など、〝現場の声〟をもとに、専門家の見解を反映させた「子育てにやさしい住まいと環境」との住宅評価基準を作成しようということになりました。
そして、妊娠や4歳までの子供をもつ家庭を想定し、子供にとって安全か、母親のストレスをためないか、などに大きく分類したうえで、100項目のチェックポイントとしてまとめました。
同総研では、作成した基準をもとに、新築マンションや戸建て物件を評価。基準をクリアした物件に対して認定を行い、その物件をホームページで公開しています。
「子供が4歳ごろまでは、母親も家にいる時間が長くなります。育児の悩みに対して、住まいの工夫という視点からも、解決の一助になればと思います」(藤田さん)
ここでは、認定基準の一部をもとに、現状でできる工夫や、住宅購入の際の参考としてまとめました。
●安全1 家具の角に丸みを●
小さな子供に、けがはつきものですが、できるだけその原因は取り除きたいものです。
特に0歳児から1歳児は、休息に行動範囲が広がり、動くときの高さも変化します。そのため、注意力の弱い子供にとっては、家具や出隅の角は凶器になります。子供の目線の高さに注意し、丸みを持たせるなど配慮が必要です。
また、2、3センチの微妙の段差も、子供は認識しにくく、転倒のもと。フルフラット設計なども、事前の段階で確認したいポイントです。
一方、機密性の高い住宅では、玄関ドアや窓の開け閉めによって、室内のドアが勢いよく閉まることがあります。ドアにぶつかったり、手や指を挟んだりして大事故になることも。ドアにオートクローザー(ゆっくり閉める器具)が付いているか、引き戸になっていれば、危険は減少するでしょう。またドアノブもレバー式なら、子供でも簡単に開け閉めができ、開けっ放しにならないようにできます。
●安全2 窓には補助錠を●
バルコニーからの転落事故も心配です。
子供が窓の鍵を勝手に開けて、バルコニーに出てしまわないよう、手の届かない150センチ以上の位置に補助錠があると安心です。
バルコニー自体の高さも120センチ以上が確保されていれば、転落しにくいでしょう。ただし、エアコンの室外機やごみ箱などが近くにあると、それを足がかりにしてしまうので注意しなければなりません。
風呂も、転倒や、やけどなどの危険が伴います。床が滑りにくい素材があるか、カランが熱くならない工夫がされているかもチェックポイントです。
一方、不審者の侵入を少しでも防ぐために、玄関ドアには、ディンプルキーやツーロックのものを用いていることや、また、カラーテレビドアホンで来訪者の顔や様子がわかるようにすることも防犯対策で大事な点です。
また健康面では、使用している素材が、アトピーやアレルギー、シックハウス症候群などに配慮したものかどうかの確認も重要です。
●母親のストレス 食洗機などで負担軽減●
育児に追われる母親のストレスを少しでも和らげるために、片付けや掃除などの手間を省きたいもの。
例えば、キッチンや洗面所の水栓が伸縮式のシャワーであれば、子供が使った後の掃除や、泥のついた靴などを洗う際にも、使い勝手がよいです。蛇口がレバー式であれば子供にも扱いやすいでしょう。
また、食器洗い乾燥機やドラム式洗濯機、台所に風呂の自動お湯張り機能があれば、体力的な負担も軽減できます。
一方、スベースにもよりますが、玄関内に、ベビーカーや遊び道具、通園バッグや上着、帽子などが収納できるスペースがつれると便利です。部屋がちらかったり、汚れたりすることもなく、また、子供に片付けの習慣をつけることもできます。
●触れあい・情操教育 キッチンの手伝いで食育も●
親子のコミュニケーションを図り、子供の情操教育につながる工夫としては、次のようなこどか考えられます。
廊下を利用したお絵かきギャラリーはいかがでしょう。コルクとホワイトボードなどを組み合わせ、子供が初めて描いた作品を展示したり、お絵かきできるようにすれば、親子で楽しめます。
一方、キッチンで子供がお母さんの手伝いができたり、ダイニングで勉強できるなどのスペースがつくれれば、自然のうちに食育や手伝い、勉強の習慣づけなどを身に付けていけるでしょう。
また構造的に、キッチンからリビングが見渡すことができ、リビングを通らないと子供たちが自分の部屋に行けない間取りであることも大切なポイント。子供の成長に応じて、間取りが変更しやすいことも、将来的には利点になります。