ハンプティにかまってもらえなくなってからも

 

りつ子はディスコに来ていた

 

ツンツンして強がっていたが

 

ポロリポロリと弱音を吐いていた

 

それでも「傷心で来なくなったと思われたら悔しいから

 

ずっと来るんだ!」と言っていた

 

ちょっとカッコいい人がいるとハンプティに見せつけるように

 

親しそうに話したりしていた

 

ハンプティにはしもべと言うか

 

パシリと言うか

 

いつも一緒に来る男がいた

 

必ずニコイチなのだった

 

ある日、りつ子はその男に近づいた

 

ハンプティはプライベートの話はしないらしく

 

その男はりつ子とハンプティの仲は知らないようだった

 

ちょっとあか抜けない鈍感風の男だった

 

りつ子と男は野球の話で盛り上がり

 

今度、一緒に野球を見に行く約束をした

 

りつ子から誘ったと言うのだ

 

数日後、りつ子から画像が送られて来た

 

”この画像をハンプティに送ってやったんだ”と、メールが来た

 

その画像は、ほろ酔いの2人が今にもキスをしそうに頬を寄せ合っていた

 

”え?野球だけじゃなく飲みに行ってるの?”

 

”そうでーす。今、二人の画像をハンプティに送ったとこ!ざまーみろ”

 

”ハンプティに送ってるの?ねぇ~その鈍感君はあやこの彼氏って知ってる?まずいでしょ”

 

”知ってるよーっ!あやこと特に仲良くないし、そんなの関係なーいっ!

 

わたしはハンプティをぎゃふんと言わせられればいいんだもーん”

 

まずい・・・

 

あやこは店に来る常連さんで知り合いも多い

 

気遣いも出来るので人気もある

 

りつ子とバトルになったら間違いなく

 

みんなあやこサイドにつくだろう

 

”あやこにバレないようにね!鈍感君とはそれぐらいにして帰りなよ”

 

返信はなかった

 

終電がなくなる頃にもう一度メールしたけど返信はなかった

 

どうかあやこにバレませんように・・・祈る気持ちで眠りについた