許されなかった恋 ~女子中学生と塾講師の悲しい恋・有賀理奈の物語~ -16ページ目

第7回

いよいよ日曜日。

有賀は何を着ていこうか迷っていた。


高田みたいに、ちょっと露出度の高い服を着て、

斉藤に見てほしいという思いはあった。


しかしもう10月初旬。外はけっこう涼しくなり、

さすがに胸元の大きく開いた服や、

太ももを露出したパンツだと、周りから浮いてしまう。


迷った挙句、露出度は全然無いが、

この前渋谷で買ったお気に入りの服で行く事にした。


サイゼリヤに行くと、既に店の前で斉藤が待っていた。


「ごめん、待った?」


「いや、俺も今来たところ。」


まるで恋人のような会話に有賀は満足感を覚えた。


この前会った時は丁寧語だった。

しかし今日は最初からタメ口だった。

別に意識したわけではないが、自然とそうなった。


有賀自身が斉藤とタメ口で話していることに気付いたのは

もっと時間が経ってからだった。


店は休日の夕飯時にも関わらず比較的空いており、

2人は窓側の関に案内された。




「何がイイ?」


斉藤に聞かれ、有賀はパスタを注文した。


「これ2つ下さい。」


斉藤は店員にそう告げ、店員が去った後、有賀を見て


「その服かわいいね。」


と言った。

本心かどうかは分からないが、

自分が悩んだ挙句に選んだ服を褒められ、嬉しくなった。


「うん、渋谷で買ったんだ。すごく安かったんだよ。」


笑顔で答えた。


それからは有賀は斉藤に大学生活のこととか聞いた。

大学はどんなところなのか、

どんな勉強をしているのか。

有賀にとっては真新しい話ばかりで、興味をそそられた。


塾でのこととかも話したが、

有賀は斉藤の事をもっと知りたかった。

特に恋愛面で。


店に入ったから40分くらい経った。

注文したパスタも食べ終え、

デザート頼もうか、と話していた。


有賀は勇気を振り絞り聞いた。


「源ちゃんは今までに何人の人と付き合った事あるの?」


20歳だから、3,4人くらいだろうか。

けどモテそうだし、

もしかしたら7,8人と付き合ってたのかも。

そんな不安が頭をよぎった。

出来るだけ少ないほうが嬉しい。有賀は思った。


斉藤は苦笑いを浮かべて、


「実はまだ一度も付き合った事って無いんだよね。」


と答えた。


「キスも?もしかして童貞?」


有賀は心の中で思った。


意外な斉藤の答えに有賀は驚きと同時に、

嬉しさも込み上げてきた。

まだ誰ともセックスしていないキレイな人なんだ、と。


「そうなんだ。モテそうなのに。」


有賀の本心だ。


「理奈さんは今まで何人と付き合ったの?」


斉藤から聞かれた。

「理奈さん」と斉藤が呼んでくれた事に喜びを感じた。


「わたしも今まで一度も付き合った事ないよ。」


正直に答えた。


「お互い早く恋人できるといいね」


有賀は言った。

それからは恋愛以外のことを色々と話してた。


有賀は斉藤とまた会いたかった。どう誘おうか迷っている時に


「今度は、2人で映画でも見に行かない?

 見たい映画があるんだ。」


と斉藤から誘われた時は、非常に嬉しかった。

もちろん即OKの返事をした。


「うん、いいよ。何の映画?」


少し間があって、


「パイレーツ・オブ・カリビアン。

 あれが見たいんだよね。どう?」


正直、あまり好きな映画ではなかった。

しかし斉藤と映画に行けるという事が重要だ。


「それ見たかったんだ!」


有賀は嘘を付いた。


「じゃあ来週の土曜日の

 昼過ぎくらいからなんてどう?」


「うん、大丈夫!」


男子との初めてのデート。胸が高鳴った。


    

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