「東京〜飛騨高山 2人の母の殺意が交差した!?」 (2005年)

 

(ゲスト)

松川希美子…美保純、 若林朝江…野村真美、 若林慎一…穂積ぺぺ、 若林美奈…小池里奈、 石黒勝之…篠塚勝、 藤井和男…四方堂亘、 石黒佳代…光井みほ、 石黒真弓…斉藤レイ、  沢昌三…誠直也

 

 

オープニング。今回以降、蓉子さんが単独でコントを担当。

夜明さんのタクシーに乗り込んできた蓉子さん、行先は、「西」。占い師から「西に行ったら神社があるから、そこで手を清めて口を漱いで二時間ほど静かに過ごしなさい。そしたら、あなたの運が開ける」と言われたらしい。

仕方なく言われるまま西に向かう夜明さんだけど、いつまでたっても神社は現れない。「このまま行ったら、平安神宮着いちゃいますよ」と夜明さんの皮肉も冴える。でも、ついに神社が現れ、蓉子さんは「ありがとう、運転手さん!」と言ってチップをはずみ、喜び勇んで神社に突入する。その後ろ姿がいかにもおばちゃんおばちゃんしてて、好き。

 

路上で手相占いをしている希美子。藤井に絡まれ、逃げた先の店で夕飯を食べている夜明さんに遭遇。

希美子は12年前に殺人を犯した。それを逮捕したのが夜明さん。藤井は希美子が殺害した被害者の弟。夜明さんは藤井に、希美子に付きまとうのを止めるよう注意するが、藤井は逆切れ。

 

タクシーで希美子を自宅まで送る夜明さん。希美子は「夜明さんがタクシーの運転手さんを知らなかった」と話す。

 

希美子の部屋が荒らされており、壁に「殺す」の文字が。

夜明さんは、「藤井が希美子に嫌がらせをしている。藤井を逮捕しろ」と東山に電話をするが、神谷さんから、”盗犯事件が起こったからといってこっちに連絡されても困ります。証拠もないのに逮捕できるわけないでしょう”とガチャ切りされる。それはそうだ。

 

荒らされた部屋は怖い、岐阜の飛騨高山へ行ってもらえないか、と言う希美子の願いを聞いて、岐阜へロング。

 

希美子は12年前、石黒勝之と不倫関係にあり、石黒の子を妊娠。石黒は、代々造り酒屋をやっていた佳代と結婚したが、入り婿で頭が上がらない不満から不倫に走ったということらしい。

夫の不倫に気づいた佳代が希美子のアパートを訪ね、「夫の子は産ませんよ」と包丁を片手に修羅場。もみ合っているうちに包丁が佳代に刺さって、佳代死亡。

希美子は懲役5年の刑。これに大反発していたのが藤井。刑が軽すぎる、姉を裏切った石黒も同罪だ、と二人を深く恨んでいた。

 

希美子は刑務所に入る前に娘 清美を出産。石黒は希美子に、希美子が出所するまで娘は大切に育てると約束したが、それからまもなく、希美子に何の連絡もせずに飛騨高山の酒屋を手放し行方をくらましていた。石黒に会えなくてもいいが、娘には会いたい、と語る希美子。

 

若林朝江の店を尋ねる希美子。朝江は希美子の中学時代からの親友。希美子が刑務所に入っている間も何かと気にかけ、励ましていた。

折に触れ、清美の様子を見に藤井の家を訪ねていたが、藤井は、清美を引き取ってからわずか2カ月で失踪。町を出ていく藤井を目撃した人がいたが、その時には、藤井は清美を連れていなかった、とのこと。

 

営業所に岐阜に一泊してから帰る、と電話をする夜明さん。これを受けるのが初登場の二朗。今作から、二朗が係長に。しょっぱなからテンポがおかしくて笑う。

 

で、今は、戻りの途中ですか?

え、ええ、ええ、えー!岐阜に泊まる。

それじゃ、ロングバケーションじゃないですか!

 

 

飛騨高山での清美に関する情報収集。藤井の友人  古屋登志男は、藤井が失踪する前に、藤井は、”飛騨高山にいたら石黒に殺されるかもしれない。だから家を売り払ってどこかで事業をやるつもりだけど、なにをやるにしても、 清美 が邪魔だ”と言っていた、と語る。

 

夜明さんの手相を見る希美子。「どうして刑事をお辞めになったのですか」の件はここに挿入。

さらに、「次の結婚があるとしたら、そろそろかもしれませんよ」という希美子に、「それより、金運はどうですか」と言っちゃう現金な夜明さん。「あんまりよくありませんね。近々、出費で苦労されるかもしれません」と言われ、「やっぱり」と呟くんだけど、その「やっぱり」は、やっぱりあゆみちゃんのことですよね。

 

翌朝、夜明さんは、岐阜で 清美 に関する情報収集を続けるという希美子と別れて東京へ戻ろうとする。しかし、希美子と別れた直後、悲鳴が聞こえ、希美子が何者かに車で誘拐されるところを目撃。

タクシーで追いかける夜明さんだけど、途中で見失い、気づいたら車のフロントガラスに「警察には知らせるな 東京に戻って連絡を待て!」のメッセージが。これ、いつのタイミングで置いたのか、よく分からない。

 

夜明宅の電話に逆探知の装置が取り付けられ、沢さんをはじめ岐阜県警の刑事が夜明宅に待機。そこへ神谷さんたちが登場。夜明さんが神谷さんを「だから言ったろ!こんなことになる前に、藤井の身柄を押さえろって!」と怒鳴りつけるのを聞いて驚く沢さん。「大丈夫です。夜明さんは、ちょっと特殊な民間人ですから」という東山の解説が好き。

犯人から夜明さんに電話。3000万円を持って東品川へ来い、という指示。身代金の要求があったことから、藤井の恨みによる犯行という線ではないのではないか、と言う国代に、”藤井は石黒、希美子だけではなく夜明さんのことも恨んでいた、だから夜明さんに身代金を要求した”と解説する東山。3000万円なんて夜明さんにあるわけない、と言う国代に、「あるわけないよ。3000円で苦しんでんだから。だから嫌がらせになるんだろう」と失礼で的確な解説をする東山。

”おまえがきちんと仕事をしなかったからこんなことになった、だからお前が3000万円を払え”と神谷さんに無茶ぶりする夜明さん。バカ言わないで下さいよ!と怒りながらも結局、ダミーで3000万円を用意することに。

 

そんな夜明さんたちのゴタゴタをよそに、監禁場所から自力で脱出し、保護される希美子。そして、希美子が脱出するした時刻と同じころ、石黒も殺される。

 

石黒は、東京で再婚しており、その妻 真弓は、藤井のことを含め、石黒の昔のことを何も知らない様子。真弓が知り合った頃、石黒は子どもを連れていなかった。

 

希美子が入院している病院へ見舞いに来る朝江。朝江は、高校卒業以降、希美子と会っていなかったが、東京の産科クリニックの母親学級で、偶然、再会する。でも、これは偶然が過ぎると思う。

それから、希美子が占い師に手相を見てもらっていたときに、「田舎はどこなの?」「岐阜です」という会話があり、それを石黒がそばで聞いていて、同郷のよしみで希美子に声をかけ不倫関係に、という馴れ初めもすごく雑な気がする。

 

銀行ATMから大金を引き出して、悪そうな顔で誰かに「一度会いたいんだけど」と電話をする真弓。恐喝フラグ。

 

夜明さんが家に戻ったら、あゆみちゃんが椅子にぼーっと座っている。いつもはご飯の支度をしてくれるのに、今日はしていないので、「ごはんはー?」と夜明さんが聞くんだけど、就職活動のために着ているスーツが汚れるから支度はしない、との回答(この「ごはんはー?」の声がかわいらしくて大好きだ(細かすぎて伝わらない))。

あゆみちゃん、あまりに就職活動がうまくいかないので、占い師に占ってもらったらしい。そうしたら、西村あゆみはあまりよくないけど、夜明あゆみなら、想像力に溢れ、仕事に恵まれる、という結果が出た、だから、就職するまで、お母さんと再婚してくれないか、と言い出すあゆみちゃんがアホかわいい。

 

藤井が逮捕されるが、希美子の誘拐、石黒の殺害、いずれも否認。藤井の供述に沿って裏を取ったところ、アリバイが証明されたため、藤井は釈放される。

 

藤井を釈放したことを夜明さんに報告する東山。希美子に話を聞きたいんだけど、病院を退院してから自宅にも戻っていない、希美子がどこに行ったか知らないか、と東山が夜明さんに尋ねたところへ、「どうも、すぐ夕飯作りますね」と夜明宅へ帰宅する希美子。

そこから、東山たちによる夜明さんへの事情聴取。「正座ー!」と正座させられ、事情を説明させられ、あゆみちゃんにチクられるのを必死になって止める夜明さんがかわいい。

 

うん、あのー、部屋が荒らされたままで、帰るのが怖いって。

で、引っ越し先を探すっていうから、それが決まるまで・・・

(ここで、というように手をフリフリ)

 

ちょっとちょっと、やめようよ。やめよう。

 

 

夜明さん宅で希美子の身の上話。5歳の時、郡上踊りのお祭りの夜、希美子の両親が一家心中。希美子一人が生き残る。泣き叫ぶ幼子に一切構わず踊り続ける大人たちがかなり怖い。それ以来、郡上踊りを見ていない、いつか夜明さんと一緒に郡上踊りを見たい、という希美子。

 

20年働いてきてなんで会社をクビになんなきゃいけないんだよう、と嘆く乗客に深見さん。

 

石黒の預金口座に毎月50万円の振り込みが会ったことが判明。さらに、石黒が殺された日に、全額引き出されていたことも分かる。

引き出したのは真弓と思われたが、真弓は朝江の父親の病院に顔を出した後、殺害される。

 

真弓が殺されたことで、石黒を奪われたことにより真弓を恨んでいるであろう希美子に容疑がかかる。そのことを東山が夜明さんに説明し、捜査のために岐阜に行く、と口走ったものだから、「意味が違います。意味が違います」という抵抗もむなしく、夜明さんのタクシーで岐阜へ行くことに。

 

東山たちの捜査により、戸籍上は、 清美 は生後3カ月で死亡していたことが分かる。診察した医師に聴き込みに行ったところ、死因はSIDS。過失や虐待の跡はなかったとのこと。

しかし、東山たちは、両親を心中で亡くし、引き取ってくれた叔父もなくした希美子は、家族に対する思い入れが強い、唯一の家族である清美を病気とはいえ死なせてしまった石黒に対する恨みは大きなものだったのではないか、と考え、希美子への容疑を深める。

 

タクシー代を支払いに夜明さん宅を訪問する神谷さん。こういうところはすごく律儀。神谷さんは、希美子が怪しい、夜明さんが希美子に会ったのは偶然ではなく、夜明さんは希美子に利用されたのでは、と言うが、夜明さんはいつものように反発。

 

乗客の女子高校生二人組が占いの話で盛り上がっているのを聞いて、ピンと来た夜明さん。あゆみちゃんを呼び出し、姓名判断をしてもらった占い師が誰だったかを聞いたところ、銀座の姫、こと、松川希美子。希美子はあゆみちゃんから、夜明さんが現在タクシー運転手をしていること、食事をする場所、休憩する場所など、様々なことを聞き出していた。さらに、希美子の誘拐で、希美子の腕にできたロープの痣がおかしかったことにも気づく。

 

希美子が占い師をしていたのは石黒を探すため。占い師をしていれば、占いが好きだった石黒と会えると思ったから。石黒に会おうとしたのは清美が本当に死んだのか、なぜ死んだのかを確かめるため。

石黒に会って問いただしたら、病気で死んだ、仕方なかった、と言いながら逆切れされたので、希美子は石黒の殺害を決意。それを朝江に話すと、朝江は積極的に協力を約束。希美子の部屋を荒らしたのも、希美子を誘拐したのも朝江。石黒は、どこか遠くへ呼び出して希美子が殺害する、という計画だったのに、希美子が監禁されていた場所の近くで朝江が殺害。真弓を殺したのも朝江。

朝江が石黒と真弓を殺したのは、現在、朝江の娘 美奈として育てられている子供が実は清美だ、ということをネタに恐喝されていたから。赤ん坊の頃亡くなったのは 美奈 、石黒が清美を邪魔と思っていたことを知っていた朝江は、亡くなった美奈と清美の交換を石黒に持ち掛け実行。

 

美奈 =清美を巡っての希美子と朝江のやり取りに、非常なゆがみを覚えて、モヤモヤする。だから、希美子と朝江が抱き合って泣いているのを見ても、素直に、そうだねぇとは思えないんだよなぁ。 美奈 =清美を人殺しの子にしたくなかった、というのは分かるんだけども・・・。だけど、 美奈 と希美子の場面はよかったかなぁ。

 

 

エンディング。あゆみちゃんと二人で歩いているところへ「もしもし、そなた、そこの人」と道端の占い師(梅津栄さん)に呼びかけられる夜明さん。「そなたって、俺?」「お顔に女難の相が出ておりまするぞ」「女難の相って、なに時代劇みたいなこと言ってんの。女難の相ってよく言われんの。(あゆみちゃんを指さしながら)金運もないって言われんの」。ここまでの流れが大好き。梅津さんがいいなぁ。

「何それ、全部私のせい?ひどい」と怒って先に歩いて行ってしまうあゆみちゃん。そんなあゆみちゃんを指さしながら「仕事の線、ありますかね、あの子」と聞いたら「きれいですもの、ありますぞ」という回答が返ってきて、ニコニコしながらからかうように「きれいだって」とあゆみちゃんに言う夜明さんが大好きだ。

 

 

ストーリーの根幹である希美子と朝江の物語のゆがみが大きくて、ちょっと入り込めない。東山と夜明さんのやり取りとか、あゆみちゃんと夜明さんのやり取りとか(特にエンディング、梅津さんも含めてとても好き)大好きだし、栄えある二朗初登場回なんだけど、ストーリー的にはいまいち。

 

エンディングテーマ。Kiroro 「もう少し」