その
ふと
息子には
芸術的センスが
あるのではないか
と気づいた
そして
息子は
障害も健常も
関係なく
息子の
無限の才能に
寄り添ってくれる先生に
出会ってほしいと
思っていたので
息子と初めて
向かう
車のなかで
わたしは
涙が
止まらなくなった
やっと出会った
と
そして
言葉は話せるが
滅多に自分の気持ちを
話さない息子も
泣いている
わたしの横で
ぼく、嬉しい
と言い
それは
心からの言葉だと
ハッとした
そして
先生は息子に
今日のテーマは犬です
と1枚の写真と
色鉛筆を渡した
わたしは
先生には
事前に
息子は
2歳のときに
障害を負ったことが
きっかけで
極端に
手の機能が
低下したこと
字は
名前と数字くらいしか
ほとんど書けないことを
伝えていたので
犬の目鼻などを描くことが
ほとんどない
息子に出されたテーマに
一瞬戸惑った
でもふと
何も
目鼻を描く必要はない
と思った
そして
黙って
観ていたら
息子は
一切の躊躇もなく
鉛筆で曲線を
描き始め
わたしは
凄いものが
でてきたと
鳥肌が
止まらなくなった
それは
息子の描いた絵
にもだが
16年育ててきて
初めて観た
息子の姿にもだった
そして
わたしは
吸い込まれるように
それを観ていた
そして
鉛筆のあとは
色鉛筆で直線を
描き始め
わたしはもう
喜びが
爆発し
凄い凄い
と叫んだ
そしてこれは
りんくんは
触覚的な絵を描く
と驚いていて
こうして
息子の絵画人生が
始まった