10年くらい前
故小林正観氏の
三重県伊勢市での
講演会に
友人らと4人で
一度だけ
行ったときのこと
講演会が終わり
正観さんの本を買い
サインをして貰おうと
列に並んだのだが
一緒に行った
友人のなかに
視覚障害のある
友人がいたので
列でゴタゴタするのも
嫌だからと
最後尾に
並ぶことにした
そして
わたしたちの番が
きたとき
白い杖を持つ友人を
突然正観さんが
抱きしめた
それは
悟っている
正観さんだから
というのも
あっただろうが
正観さんには
知的障害のある娘さんが
いたから
友人の気持ちが
心から分かったのも
あったからだと思う
そして
彼女は泣き出し
わたしたちも
それを見て泣き
そして友人は
「久しぶりに
男のひとに抱きしめられた」
と言い
皆で
泣き笑いをした
そして
わたしの番になったとき
わたしたちは
比較的前の方に
座っていたからか
何百人もいる
公演会場で
なぜかわたしのことを
覚えていて
「あなた
よく笑っていましたね」
と言われ
驚いた
そしてわたしは
(体脂肪の話を正観さんがされていて
わたしも正観さんも細いので)
「わたし
正観さんと同じく
体脂肪率も低くて
正観さんと同じく
障害児の子どもがいます」
と笑いながら
話したら
正観さんは
わたしをじっと見て
わたしも強く
抱きしめてくれ
またみんなで
泣いた
そして
そんな感動のなか
伊勢神宮の近くの
会場から
皆で一台の車に乗り
帰り始めたら
多分
季節は
初秋だったのに
突然目の前で
花火が
上がり始めた
だからわたしたちは
その有り得ない景色に
本当に驚き
「祝福されているようだね」
と発狂した