気が付けば、もう あっという間に六月です。


じめじめした梅雨は まだこれからですが、昼間の日差しや夕暮れ時の匂いから

それよりも一歩先に、もうすでに夏がそこまで来ているように感じます。


今年も引き続き、節電を意識する夏になると思います。

そこで今回は、古からその形を変えずに日本人の夏の風物詩にもなっている

「うちわ」をご紹介します。



まずは創業からおよそ200年にわたり、日本橋の地で日本の伝統文化である和紙を

変わることなく伝え続けている榛原さんの「はいばらうちは 大満月うちは」です。


Rin

(大  \2,100)


印象的な模様は明治時代に生まれたもので、

菱形を幾何学的に配置し、江戸切子の硝子細工や、光を受けたステンドグラスをイメージした

「色硝子」と名付けられた絵柄です。


赤、青、紫と、シンプルな一色使いのデザインが、レトロな雰囲気を醸し出しています。


「はいばら うちは」は、職人の手仕事により、文化3年創業時から作られてきました。

その巧みの技は現在に受け継がれ、平成15年には

経済産業大臣指定伝統的工芸品にも認定されています。


柄から先まで1本の丸い竹を細工する為、丈夫で軽く格別に大きな風が特徴です。


Rin

(小 \1,575)


同じ模様の小は、持ち手の部分がスッと長い女性らしいフォルムで

見た目だけでも、なんだか涼やかに感じます。




続いては、手刷りで刷られた繊細な絵柄が美しい、東京松屋さんの

「江戸からかみ 丸うちわ」です。


その名の通り、丸いフォルムがとても可愛らしいです。


Rin


「江戸からかみ」は技法の多彩さが大きな特徴で、木版刷りの技法は唐紙師、

砂子蒔きは砂子師、渋型紙による捺染摺りは更紗師にと分化し、

伝統技術としてそれぞれ現代に受け継がれています。

Rin
(各 \1,890)


持ち手の部分にはカシューナッツの種子の殻を原料として作られた

カシュー漆が塗られていて光沢があり、ふっくらとした艶があります。


ちなみに、こちらがカシューナッツの実です。


Rin


まが玉のような種の部分に、おなじみのカシューナッツが入っています。

ナッツを取り出した殻を原料に、カシュー漆は作られています。


現在Rinで取り扱っている「江戸からかみ 丸うちわ」は、すべて一点もの

となっております。




最後に栗川商店さんの「渋うちわ」です。


熊本県の伝統工芸品として認証されている「来民の渋うちわ」は、

県北の山鹿市の東部にある鹿本町来民(かもまちたくみ)で作られ、京都や丸亀とともに

うちわの三大産地とされてきました。


慶長5年、四国丸亀の旅僧が一宿の謝礼として団扇の製法を伝授したのが来民渋団扇の始まりといわれています。


淡い色合いに、なんともいえない風情を感じます。


Rin

(小丸無地 \1,575)


柿渋の一塗り一塗りで表情が異なるので、似たものがあっても、同じものはありません。

また、柿渋は年月とともに色合いが深みを増し、独特の色彩をお楽しみいただけます。


柿渋を塗ることにより、和紙をコーティングする役目と、柿渋に含まれるタンニンの働きで

防虫効果があるのも特徴です。


Rin
(仙扇青墨 \3,150)


今回ご紹介させていただいた「うちわ」は、それぞれ丹念な手仕事によって生まれた

使い捨てのものにはない、趣のあるものばかりです。


お気に入りを見つけて、長く愛着を持って使っていただけたらと思います。


昔から変わることのない うちわが生む、柔らかな「手づくりの風」をお楽しみください。


ご来店の際には、ぜひお手にとってご覧くださいませ。