円安是正のための為替介入に大反対なのはこれまで何度も述べていますが、今回は私の個人的な意見は一旦置いといて、最近政府が繰り返し行っている為替介入に関する事実を2点ほど書きたいと思います。

 まず1点目。為替介入って具体的に何をしているのかと言うと、要は米国債を売却している訳です。米国債を売却して得たドルを売って円を買うので円高ドル安になる、これが日本政府が最近繰り返し行っている為替介入の正体です。
 しかし米国債の売却は米国債券価格の下落(=米国金利の上昇)を招く事になるので、本質的にはドル高を招く要因になります。なので為替介入は短期的には需給面から円高ドル安になりますが、もう少し長い目で見ると実は円安ドル高要因という側面があるのです。

 2点目。最近繰り返し行われている為替介入は日本政府が1ドル80円前後の円高時代に購入した米国債を1ドル150円~160円で「利確」する行為であり、日本政府は大儲けしているからむしろどんどんやるべきだという主張があります。確かにこの主張の通り、国は最近の為替介入で大儲けしています。しかし、本来ならその利益は減税などの形で国民に還元されるべきですが、実際はそうはなりません。為替介入で国が得た利益は基本的には外為特会という所に収められ、残りは「ロールオーバーを前提としない国債の償還費」という全く無意味な歳出に充てられて終わりです。ちなみに外為特会は円安効果などもあって約200兆円というとてつもない規模に膨らんでおり、その為替差益部分は「埋蔵金」とも言われたりしています。また「ロールオーバーを前提としない国債の償還費」などというアホみたいな歳出計上をしているのは先進国では世界で唯一日本だけで、これはまるでセルフ経済制裁とも言うべき愚行中の愚行です。

 後半部はちょっと難しかったかもしれませんが、要は日本政府が繰り返し行っている為替介入は実は円安ドル高要因という面も強くあり、さらに為替介入によって国が儲けたとしても利益は日本政府の内部留保になるか全くアホな事に使われて消えるだけで、国民には還元されません。もっと言えば、還元しようと思えばできる筈ですが岸田にその気が全く無いことは皆様よくご存じかと思います。残念…