先日5032 ANYCOLORという銘柄を題材に取って「金融や投資の世界では結局のところ金利以外の尺度は無く、株の場合はそれが配当利回り」であると書いた所、読者様から「PERやPBRは優良株を測る尺度になりませんか?」というコメントを頂きました。本当に素晴らしい質問で、これに対しては必ず回答しなければならないと思っているのですが…でも私の筆力不足ではなかなか満足のいく文章が書けずにいます。

 シンプルに私の考えを述べると、PERやPBRという指標も十分に尺度になるでしょう。
 ただし私が言いたいのは、PERやPBRという指標そのものが金利と無関係ではないという事です。

 PBR0.9倍の株があるとします。PBR0.9とは企業の純資産1億円に対して株式時価総額が9000万円という状態です。株価が純資産以下の評価しかなされていないのだから当然割安だと誰もが思うでしょう。しかし、場合によってPBR0.9でも必ずしも割安と言い切れないケースだってあります。例えばもしその企業が経済成長率マイナス20%という超大恐慌の社会の中にいて、その企業自身も今後数年にわたって純資産が毎年20%ずつ減っていくと予想されるような状況だとしましょう。となるとこの企業の純資産1億円は1年後に8000万円、2年後に6400万円、3年後には5120万円…となる訳で、こんな地獄のような状況ならPBR0.9ですら割高と捉えられておかしくはありません。今後この企業はどんどん規模が縮小していくだろうという予想から、もっと低いPBRで株価は評価されそうです。また、逆に物価上昇率100%のようなハイパーインフレだと、PBR10倍でも割安となってしまうかもしれません。そして前者のような大恐慌の世界では金利はおそらくゼロ、後者のハイパーインフレ世界では天文学的な高い金利になっているに違いありません。
 PER○倍・PBR○倍が本質的に割安か割高か…それは経済状況によって変わります。その経済状況を映す鏡が金利なのです。PER20倍・PBR2倍という数値は日本市場なら割高となってしまいますが米国市場なら割安の部類に属します。そして日本と米国には確固たる経済力や生産性の差があり、それは現在の金利や近年の中立金利の差となって現れています。

 というような事をもっと詳しく書きたかったのですが、私の筆力では無理でした。
 でも何となく伝わりましたでしょうか?PERやPBRも確かに尺度ですが、しかし結局は金利に依存した尺度…と私は思います。やっぱり「結局のところ金利以外の尺度は無い」のです。
 ところで金利に関しては、現在長編の記事を鋭意執筆中です。来週末に投稿できるよう頑張っておりますので、ぜひ読んで頂ければ嬉しいです。


 株式市場の方ですが、今日は日経平均は微下げでしたが保有株はそこそこプラスでした。最近は日経平均爆上げ日よりも今日のように日経平均がちょっとマイナスになる日の方が私の保有株は上がります。同じような個人投資家は多いのではないでしょうか。日経平均株価って本当に何なんでしょうね?
 そんな中、今週は6677エスケーエレクトロニクスを全て売却しました。エスケーエレクトロニクスと言えば昨年2日連続ストップ高などあって購入から僅か半年で倍バガーを達成と、当ブログで注目した銘柄で最も株価が上がった銘柄のひとつです。ただ、本当にお世話になった銘柄ではありますが今期に入って業績が落ち込んでおり、現状は減配の可能性がかなり高まっていると言わざるを得ません。会社は今後数か月での業績反転を見込んでいますが、私の調査では劇的な業績回復はちょっと難しいのではないかというのが結論です。まあ同株の場合は現状がかなりの高配当なので減配があったとしても微減配に留まれば材料出尽くしとなって逆に株価回復となる可能性もありますが、私としてはリスクの方が大きいと判断しました。

 その他も売り銘柄の候補がいくつもあるので、四季報発売前の最終週となる来週中に銘柄整理を進めたいと思っています。