今回は期待している銘柄の第2弾として、4116大日精化工業という銘柄を紹介したいと思います。

 まず肝心のPBRは0.4。つまりPBR1を超えるためには株価を倍以上にしなければなりません。これは株主還元強化無しでは到底無理な水準です。
 そしてこの大日精化工業は今回のピックアップテーマである、

 

①今後具体的な株主還元強化策の発表が期待される銘柄

②株主還元強化策は既に発表されており、その効力が間もなく(多くの場合は5月の本決算発表時に)本格的に現れると期待される銘柄


 のうち①のグループになります。実は前回紹介した7236ティラドから始まる期待最上位4銘柄のうち、①のグループに該当するのはこの大日精化工業だけです。

 ではなぜ大日精化工業が株主還元強化が期待出来そうなのかというと、それはとてもシンプルでIRでそれを匂わせる発表が既に為されているからです。具体的には昨年12月13日に発表された「資本コストや株価を意識した経営の実現や対応について」というIRの中で、「PBR1.0超の早期達成を目指します」と宣言しており、その具体策として「自己株式の更なる取得推進検討「株主への利益還元強化検討(配当政策)」という文言がハッキリと書かれています。さらに同IRでは、取組の内容については2025年3月期を初年度とする次期中期経営計画にて更新を予定と明言されています。つまり要約すると、「次の中期経営計画で大量の自社株買いや配当性向UPを発表します!」と言っているのと同じです。ここまで楽しみな文言を並べられては期待しない訳にはいきません。

 加えて、株主還元強化の余力や態勢も十分です。大日精化工業はこれまで一貫してケチ臭い配当しか出して来なかったので内部留保は十分。これまで毎年の株主還元額が10億~15億円程度なのに対し現預金は247億円も貯め込んでいます(2023年3月時点)。また同社はつい2~3週間ほど前に保有する埼玉県の土地を売却する旨を発表しており、これにより今期は77億円の売却益(特別利益)が生じる事が確定しています。こういった固定資産売却も、PBR1超えを果たすための動きの一環と見て取れます。もしも配当性向大きく引き上げられた上にこの77億円も配当原資に回ってきたりすれば、今期の配当はとんでもない額になるという事だって考えられます。

 また、四季報の記載がとても明るいのも好材料です。四季報最新号によると24年3月期の経常利益見通し48億円に対し、今期は64億円と33%の増益予想。これは他の銘柄ではあまり見かけないような増益幅で、四季報的には来期の増益を確実視しているようです。

 さらにもう1点、為替感応度があまり高くなさそうなのも特筆すべきポイントです。大日精化工業が為替にどれだけの影響を受けるのかは正直よく分かってないのですが、Quick Money Worldというサイトによると同社の為替感応度は10段階中4(数字が大きいほど為替感応度が高い)となっており、おそらくは為替の影響があまり大きくなさそうです。今の私の保有株は自動車関連をはじめとして為替感応度が高い銘柄ばかりになってしまっていますが、現在の為替の情勢を見るに、ここから為替介入等で円高に戻る懸念はあっても逆にまだまだ円安が進行する可能性は低そうに見えます。まあそれは分かりませんが、いずれにしてももし円高に振れれば保有株が全滅してしまうような構成はあまりに危険です。そういう意味でも、為替の影響が小さそうな銘柄がポートフォリオの中にいてくれるというのはとても有難い事と言えます。

 肝心の中期経営計画はおそらく8月に発表されると思われますが、しかし私は今の内から買っておきたいと思っています。というのも、もしかしたら中期経営計画がもっと前倒しで発表される可能性もありますし、仮に中計発表が8月でも今期の配当予定額が発表されるのはおそらく5月の本決算となる可能性は高いでしょう。

 という訳で大日精化工業は次の中期経営計画で株主還元強化策を打ち出してくる可能性大、そしてその余力も十分、さらには固定資産売却などの「準備運動」もしっかりこなしており、加えて四季報の記載も良好と、まさに何から何まで期待できそうな雰囲気に溢れています。が、当然ながら懸念点が無い訳でもありません。懸念点はまず現在の配当利回りが2.7%とあまり高くない事、そしてどんな株主還元強化策が発表されるかは結局は蓋を開けてみるまで分からないという事です。風呂敷だけ広げておいて蓋を開けてみたら中身は全くロクでも無かった…というケースは往々にしてあります。ちょうど昨年の同じ時期、私は4310ドリームインキュベータや9101日本郵船に「株主還元やるやる詐欺」を食らって結構な損をしました。もしかすると大日精化工業も蓋を開けてみたらショボい還元強化策で、今期も配当利回りは結局高くはならず株価も低空飛行…という事だってもちろん有り得ます。とはいえこれまでのIRでの発表や固定資産売却などの動きを見る限りでは、やはり良い目が出る可能性の方が高いと考えます。というかわずか0.4しかないPBRを考えれば、良い目が出なければなりません。大きな期待をかける価値のある銘柄だと思っています。

 

 

 

 

昨年12月発表IR

今期に配当政策変更による株主還元強化を行う可能性がかなり高そうな記載