来週は多くの銘柄で配当権利落ちを迎えるので、どの銘柄で配当を取るのかを権利日までに決めなければなりません。言い換えれば、配当を取らない銘柄は権利日までに売却しなければなりません。

 

 基本的な戦略としては、期末一括配当銘柄は配当を取らずに売却するのが無難だと思っています。以前調査したデータでは、期末一括配当銘柄は配当額よりも権利翌日の株価下落分の方が大きくなるケースがほとんどでした。私の保有株では1805飛島建設・4224ロンシール工業・4611大日本塗料・5284ヤマウ・5905日本製罐・9142 JR九州などが期末一括配当です。また、配当が一括ではないにしても期末に大きく偏重しているような銘柄も同様に考えて良いと思います。例えば7927ムトー精工は今期の中間配当が12円なのに対し期末配当は75円とかなりの期末型です。他にも5445東京鐵鋼などが結構な期末偏重となっています。

 

 なのでこれらの銘柄を権利日直前に売って権利後に買い戻したいものだけ買い戻すというのが最もシンプルな考え方なのですが、今回はその基本方針に加えて、配当権利落ち後の増配期待度というものも判断材料にしようと思っています。

 

 増配や減配といった発表は、原則として配当権利日までになされるべきだと思います。配当権利落ち後に増配があっても株価に影響が及びませんし、何より最終的な配当がいくらになるか分からないのであれば投資家は配当権利を取るべきかどうかの判断が出来ません。先月は8304あおぞら銀行が配当権利落ち後に突如無配を発表するといった事がありましたが、これなんかは本当に酷いケースです。

 

 ただ現実には、配当権利落ち後に増配や減配が発表されるケースはしょっちゅうです。しかしよくよく考えると、権利落ち後の配当修正こそ実は配当取りを行うかどうかにとっての重要な判断材料になるのではと最近思うようになりました。

 

 理論的には、配当権利落ちに伴って配当額と同じだけ株価は下落する筈です。だから配当を取ろうが取らまいが理論上の損益は同じになります。ですが、仮に配当権利落ち後の増配が見えているとすればどうでしょうか?例えばある銘柄の期末配当が100円だとすると、権利落ちに伴って株価は100円落ちるので差し引きはゼロです。しかしその後に50円の増配が発表されたとすれば、100円の株価下落の対価として150円の配当を得られるという事になります。

 

 この考えに基づくと、「配当権利落ち後~本決算発表までに増配が期待できそうな銘柄は配当を取るべき」という事になります。私の保有株でも該当しそうな銘柄はパッと思いつくだけでも2117ウェルネオシュガー・5284ヤマウ・6419マースグループ・7241フタバ産業・7283愛三工業・8141新光商事・9142 JR九州など山ほどあります。つまりこれらの銘柄は、積極的に配当を取りに行った方が良いのかなと考えている所です。さらにこの考え方でいけば、未保有株でも配当権利落ち後の増配が期待できそうな銘柄は権利前に積極的に買い集めるという戦略もありそうです。

 

 ただ、ここまで書いてきた考えはあくまで理論上の話であって、実際は増配が待っているような銘柄は権利落ちに伴う株価下落もその増配期待分が加味されたものになるかもしれません。例えば2117ウェルネオシュガーが現状の予定期末配当が46円ですが、実際はおそらく20円ぐらいは増配されます。なので権利落ちによる株価下落も、46円ではなく66円ぐらいになってしまうかもしれません。そういった可能性は十分考慮しておくべきでしょう。