「巧遅は拙速に如かず」ということわざがあります。中国の古い歴史書が出典で、「上手に仕上げようとゆっくりやるぐらいなら、少しは拙くても速く仕上げた方が良い」という意味だそうです。要は「丁寧さよりスピードが重要」という所でしょうか。
 という前置きを述べたところで、7927ムトー精工の決算所感といきたいと思います。

 ムトー精工の決算ですが、端的に言って全くの期待外れでした。上方修正と増配こそありましたが内容がどちらもサッパリで、上方修正とは名ばかりで実態は下方修正のような内容です。決算翌日の株価が急落したのは当然でしょう。1月14日の日記で「1か月後に一番上がっていると思う銘柄」としてムトー精工を挙げるほど期待した銘柄ですがまさかの大ハズレ。昨年秋の7433伯東、今年3月の9888 UEX、5月の4310ドリームインキュベータ、夏の2309シミックと私は期待度No.1の銘柄がなぜか上手くいかないというジンクスがありますが、またそのパターンにハマった格好です。

 とはいえ、これは私のやり方ではある程度仕方の無いことかなとは思います。というのも私がやっているのはただ割安株を探しているだけであり、今後の業績がどうなるかというのはあまり予想しません。というか、その予想は極めて難しくて私には不可能だと思っています。つまり言い換えれば、私のやり方は決算跨ぎには全く通用しません。私自身もそれは認識しているので、私は決算直前に株を買い足すということは基本的にはしません。ムトー精工に関しても、買い足したいと思いつつ結局今年に入ってからは一度も買い足しませんでした。やはりどれだけ期待している株であっても決算直前での買い足しは極めて危険であり、今回もそれが改めて浮き彫りになったかと思います。

 というか私のルールでは「株価が十分上がっている場合は決算直前に一部利確」となのですが、ムトー精工の決算直前の株価はどう見ても既に結構上がっていたので、前もって一部利確しておくべきでした。まあこれに関しては自分の中でもまだルールが曖昧な所がありますし、例えば7299フジオーゼックスは元々高かった株価が決算を経て更に跳ね上がったので何が正しいのか一概には言えないのですが、しかしムトー精工のここ3か月間の株価の上がり方やPBRも1が迫っていることを考えると、やはり直前にある程度利確すべきだったと思います。私は良くも悪くも数字で物事を考える癖がありますが、今回は「決算後の目標株価2400円~2500円」という数字に引っ張られ過ぎてしまいました。決算の1週間前には株価2300円台に乗せた瞬間もあり、これはもう目標株価と誤差の範囲内と言える所まで来ています。冷静に考えれば全株持ち越しは調子に乗り過ぎでした。

 そして今回ムトー精工を通じて特に強く思うのは、まさに冒頭の「巧遅は拙速に如かず」です。どういうことかというと、ムトー精工は決算を受けて株価が急落しましたが、それでも実は個人的にはまだ結構な含み益だったりするのです。それはひとえに、株価が上がる前の最初の段階で沢山買っていたからに他なりません。ムトー精工の3か月前の株価を振り返ってみると、2Q決算の翌日の寄り値が1740円(私はここで早速最初の買いを入れています)で、そこから日々の終値が順1837円→1839円→1889円→1955円でした。昨日1日でめちゃくちゃ暴落したようなイメージがありますが、実は前回の決算チェック後2~3日の間にサッと買っておけば、これだけ悪い決算を食らってもまだ利益を確保できているのです。やはり決算チェックはチンタラやっていては何の意味も無くて、多少精度が悪くてもとにかくスピーディーにやるのが重要だということを改めて感じる次第です。「巧遅は拙速に如かず」、これは今後も徹底していきたいと思います。

 最後に今後のムトー精工株に関してですがこれはもうどう扱っても良いのではないかと思います。決算の内容が良くなかったのは事実なので、もうスパっと売ってしまってもいいでしょう。とはいえPBR1割れ&それなりの高配当株を急落直後に売るのももったいなく感じるので、とりあえず一旦様子を見て決めるという手もあると思います。ムトー精工は意味不明なゼロ配当グロース株とは違ってしっかりと高配当のついている株なので、決算が多少悪かった程度で株価がズルズル右肩下がりになることはまず考えられません。また、私はムトー精工についてはかなり調べましたが、私の調査ではどうやら5月の本決算でPBR改善(つまりは株価向上)に向けた前向きなIRが出そうだという情報もキャッチしています。なのでとりあえずはそこを期待して継続保有してみるという手もあるでしょう。

 私としては、とりあえず現状は保有枚数がちょっと多いかなと思うのでタイミングを見てある程度軽くしつつ、とりあえずは5月の本決算でのIRを期待してみようかなと思っています。