先週決算を発表した保有株の中に7338インヴァストという銘柄があります。元々は昨年8月にピックアップした銘柄(同ブログでも昨年8月17日の日記でちらっと名前を出しています)で、決算直前の株価は844円だったのですが、決算では株式非公開化とそれに伴って経営陣による1株1150円での強制買取が発表されました。当然翌日の株価はストップ高となり、昨日の終値は1132円と決算前日比+288円(+34.1%)の爆上げとなっています。となると普通は喜ばしい所・・・なのですが、私は逆にめちゃくちゃ腹が立っています。

 

   というのもインヴァストのBPSは2006円であり、1150円という買取価格はPBR0.57でしかありません。さらに言うなれば同株が新規上場された際の公開価格は5000円でした。これはつまり、元々5000円と見積もられた株が無能な経営陣によって844円まで下落し、もうどうしようもないからと経営陣が1150円で買い戻すということです。あまりにも安すぎる買い戻し価格です。

 

   今回の件がどういう事かというのを分かりやすく説明するために、壺で例えてみたいと思います。まず最初に経営陣は、壺を5000円で多くの人に売りつけました。普通なら、時代が進むと共に壺の価値は高まっていくものです。ところが経営陣が無能だった為にその壺の価値はどんどん下落。試しに「何でも鑑定団」に出してみたところ現在の価値は2006円(PBR1基準)と鑑定され、さらにメルカリではその鑑定額にすら届かず844円で売買されている有様。それを経営陣が1150円で強制買取する、というのが今回の件です。もう1度言いますが、経営陣はかつて5000円で売りつけた壺を1150円で強制買取しようというのです!しかも鑑定団では今でも2006円の価値があると鑑定された壺をです!

 

 私はIPOに詳しくないので間違っているかもしれませんが、インヴァストの新規上場時のデータを見ると新規公開株数は現在の単位に換算して200万株のようです。つまり新規上場時に200万株×5000円=100億円の資金を得て、それを200万株1150円=23億円で強制的に買い戻そうというのです。無能経営で株価を下げまくった挙げ句、経営陣は差し引き77億円のボロ儲けです。

 

 これ程のディスカウント価格での買取は、ハッキリ言って犯罪的行為と私は思います。公開価格の5000円というのはもはや過去の話としても、せめてPBR1基準となる2006円以上での買取でなければ筋が通りません。が、実はこういった「PBR1未満での株式強制買い取り」は今回のインヴァストに限らずここ最近頻発しています。要はPBR1以上にすることを早々に諦め、会社(経営陣)にお金が残る形で市場から撤収してしまおうというのです。こんなことが横行していては、日本市場の信頼に関わります。なので私としてはこういった県は法律で厳しく規制すべきだと思います。よく「結局は株主が決めることだ」という意見がありますが、それは私から言わせれば社会や経済のことなど全く何も考えていないアホの屁理屈です。例えばビッグモーターが株主総会で「店舗の前の街路樹は全て伐採する」と決議したら実際に伐採して良いのですか?駄目でしょう。なぜならそこには法律や条例といったものが存在するからです。いくら株主総会で決議したといっても、法律で駄目だったら駄目なのです。今は法律で禁止されないからというのを盾にやりたい放題、PBR1未満での強制買い取りは私から言わせればまるで脱法ドラッグです。

 

 今回のインヴァストの件は、まさに日本企業の腐った部分を見た気がしました。こういう事が当たり前になってしまっているから、日本の新興市場は上場ゴールのゴミ箱と言われ、外国人投資家は信頼できる大企業の株しか買わないのです。PBR1未満でのTOBや株式強制買取を禁止する法律を強く求めたいです。