皆さんは、株価に最も大きな影響を与える要素は何だと思いますか?やはり企業の業績でしょうか?それとも企業の将来性でしょうか?
 私は、金融政策こそが株価に最も大きな影響を与えるものだと思っています。10年前に1万円を割り込んでいた日経平均株価が3万円を超えたのは、要は金融緩和をしたからです。もちろん企業の業績や将来性も大事ですが、まずは金融政策がしっかりとしていなければ話になりません。だいいち、金融政策は個々の企業の業績にも大きな影響を与えます。
 つい先日、日銀が物価上昇率の見通しを上方修正する検討に入ったという報道がありました。多くの人は「へえ、そうなんだ」「だから何?」といった感じでしょう。ですが私は、こういう報道を目にした瞬間に危機感を覚えます。つまり物価上昇率の見通しを上げるということは、すなわち金融引き締め(具体的にはYCC変動幅の拡大)の地ならしに違いないと感じるのです。黒田総裁の時代、日銀はとにかく金融緩和して日本の景気を上向かせようとしていました。しかし植田総裁に変わって以降の日銀は、景気の浮揚ではなく、いかにして金融引き締めの方向に持っていこうかという事を目的として動いているように見えてなりません。確かに物価上昇率は現在日銀が想定している水準より高いものになるかもしれませんが、しかしその原因は完全なコストプッシュであり、金融引き締めの理由にはなりません。もしコストプッシュインフレに対して本格的な金融引き締めで対抗するようなバカなことをしても、物価は下がらないどころかスタグフレーション(=不況下のインフレ)が深刻化するだけです。
 しかしこのタイミングで前述したような報道が出る時点で、植田総裁は近々(ヘタをすると次の日銀金融政策決定会合で)また事実上の利上げに踏み切りそうと考えざるを得ません。注意が必要です。


 今日の株式市場の方は日経平均+558円と大幅続伸となりました。しかしその内容を見ると上昇をけん引しているのは値がさのハイテクグロース株で、海運株や5401日本製鉄といったバリューの代表所は下落しています。日経平均は指数寄与度の偏りが著しく、バリュー株からグロース株へと資金が移れば上がってしまうという欠陥指数。しかも最近レーザーテックが構成銘柄に組み込まれたことでその性質がより顕著になりました。中小株をほっといて一部ハイテク値がさ株だけで日経平均爆上げを演じた春先と状況が似ており不愉快ですが、とはいえグロース株に手を出そうという気は起きません。勝負所は来月だと思っていますので、それまでは私のがターゲットとするようなバリュー株は上がってくれなくてもいいよというぐらいの気持ちでいようと思います。

 その他注目トピックとしては6323ローツェが中間決算を発表しました。半導体関連の先行指標としていつも注目しているのですが、肝心の決算内容は一見するとまずまず悪くないなといった所でとりあえず無事通過か…と思っていたら、今日の株価は何と場中値付かずのストップ高でした。そこまで上がる決算か?とは正直思いますが、しかし私は決算内容を詳細に確認した訳ではなくパッと見で言っているだけなので、しっかり確認している本業の投資家たちから見たら良い決算ということなのでしょう。これは良い兆候で、実際に半導体市況は在庫過多不況をようやく脱しつつあるような感があります。そうなれば、私がじっと持ち続けてきた半導体商社たちにもやっと光が当たることになります。11月の決算を観察してからにはなりますが、半導体商社は積極的に物色対象とすべきかもしれません。